提案書11(2003頁~2199頁)医療技術評価・再評価提案書 (23 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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・副作用等のリスクの内容と頻度
内視鏡の表示する画像に対してAIによる診断支援を行うため、副作用のリスクは少ない。AIの診断精度は専門医と同等である
ことが示され、医療機器として薬事承認が得られている。薬事上の医療機器的な位置付けも検出支援であれば「病変候補を検
知する機能を有する。」とされ、鑑別支援であれば「病変候補に関する良悪性鑑別、診断結果の候補の提示及び疾病の進行度
等の定量的なデータを数値やグラフ等として出力する機能を有する。」とされており、本技術による誤診のリスクは最小限に
おさえうると考えられる。ただし、病変候補検知により見逃していた病変が発見された場合、検査時間と生検数それぞれが増
加する可能性は考えられる。これに伴い合併症の頻度が増える可能性はあるが、患者への影響は少ない。
⑨倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)
特に問題はない
D
妥当と思われる診療報酬の区分
点数(1点10円)
⑩希望する診療
報酬上の取扱い
その根拠
1,000
当技術により鑑別能が向上し、早期発見できる胃がんが増加することで医療費の総額が低減できると考える。
当技術の経済的効果について、参考文献2より下記の通りである。
早期胃癌発見数、見逃し数については全国がん登録罹患数・率報告によると胃がんの罹患数は124,319人とされている。ま
た、日常診療における上部消化管内視鏡検査での発見胃がんに占める早期胃癌(肉眼的分類:0型)は全体の51.7%との報告
があり、これをもとに対象集団における早期胃癌発見数を64,273人と推計した。さらに、Hosokawaらによって報告された早期
胃癌の偽陰性率25.8%をもとに、現状の早期胃癌見逃し数は22,348人と推計した。発見された胃がんに係る医療費は、先行研
究から、進行度(ステージ)に応じた医療費としてステージ1、2、3、4、死亡の順に1,682,000円、3,308,000円、2,943,000
円、4,847,000円および1,836,000円とした。生検及び病理診断に係る費用は、医科診療報酬点数表から13,200円であり、ま
た、当技術使用の際の1症例あたりの保険償還価格は、10,000円とした。なお、鑑別の結果、生検を実施した場合には、本プ
ログラムの利用に係る保険点数は算定できないとした。偽陰性の診断を受けた患者(早期胃癌の見逃し例)における胃癌の進
行は上皮性腫瘍であるステージ1からステージ4まで順に進行し、患者の転帰は現在の状態にのみ依存し、1年後には、現状の
ステージに留まるか、次のステージに進行するか、死亡するかの3択であるようなマルコフモデルに従うと仮定し、初回の画
像診断後の次回検査は3年後であるとした。なお、次回検査を3年後としたのは、理想的な検診期間は3年であるとする研究が
複数存在すること、また、偽陰性癌を推計する報告でも癌診断から遡ること3年の検査でみつかると仮定する場合が多いため
である。
推移確率はステージ1、2、3の患者が、次の1年で次のステージに移行する確率を先行研究にもとづき、それぞれ0.035、
0.192、0.393と設定した。また、各ステージから死亡に至る確率は5年相対生存率から、それぞれ0.81%、6.99%、15.81%、
42.66%と設定した。性能評価試験の結果より、前述のHosokawaらの報告報告から推計される早期胃がん見逃し数に対して当
技術を用いた場合、13,253人と推計した。先述モデルの推計に当てはめると医師ベースラインステージ1が22,348件に対して3
年後のステージ1、ステージ2、ステージ3、ステージ4、死亡がそれぞれ19,584件、1,692件、321件、59件、693件であり、当
技術使用ではベースラインステージ1が13,253件に対して3年後のステージ1、ステージ2、ステージ3、ステージ4、死亡がそれ
ぞれ11,614件、1,003件、190件、35件、411件である。
現状の上部消化管内視鏡検査における生検率を20%として、現状の内視鏡検査では検査自体が21,098百万円、生検・病理診断
が11,597百万円で合計32,694百万円であり、対して当技術使用下で同様に金額を算出すると内視鏡検査では31,497百万円、生
検・病理診断が10,702百万円で合計42,199百万円であり、初年度の導入時点では9,504百万円の医療費増加が見込まれる。一
方で3年後の治療費については同様に生検率を20%として、現状の内視鏡検査では38,669百万円、当技術使用下では22,932百
万円と推定され、検査と生検・病理診断の費用を含めても現状より6,233百万円の医療費削減が見込まれることとなる。以上
文献の試算により、償還価格10,000円でも3年後には62億円を超える削減効果が期待できる。
区分
関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(③対象疾
患に対して現在
行われている医
療技術を含む)
番号
技術名
特になし
特になし
具体的な内容
減(-)
プラスマイナス
予想影響額(円)
6,233,092,963円
鑑別対象者 1,850,671名 × 内視鏡検査単価 11,400円 = 21,097,652,533…①
鑑別対象者 = スクリーニング内視鏡 8,330,000名 × ピロリ感染率 40% × 中~高度萎縮の割合 55.54%
①+(鑑別対象者 1,850,671名 - 病理診断数 810,741名)× 償還価格10,000円 = 31,496,954,447…②
鑑別の結果、病理診断を実施した場合は、本プログラムの利用にかかる保険点数は算定しないと仮定
病理診断数 = (早期がん発見数 64,273名+早期がん見逃し数 22,348名)×本プログラム感度 84.7% + 異常なし患者数
1,764,050名 × (1 - 本プログラム特異度 58.2%)
② - ①=10,399,301,914
(本プログラム未使用時の)病理診断数 878,548名 × 13,200円 = 11,596,839,408…③
病理診断数 =スクリーニング内視鏡 8,330,000名 × 病理診断率 20.4% × 発見癌に占める早期がん割合 51.7%
(本プログラム使用時の)病理診断数 810,741名× 13,200円 = 10,701,782,301…④
病理診断数 = (早期がん発見数 64,273名+早期がん見逃し数 22,348名)×本プログラム感度 84.7% + 異常なし患者数
1,764,050名 × (1 - 本プログラム特異度 58.2%)
④ - ③=-895,057,107
予想影響額
その根拠
(本プログラム未使用時の) 3年後の治療費 = 3年後にStage1の場合 31,038,700,549円 + 3年後にStage2の場合
5,273,015,241円 + 3年後にStage3の場合 889,780,245円 + 3年後にStage4の場合 269,014,694円 + 3年後に死亡の場合
1,198,376,363円 = 38,668,887,092…⑤
早期がん見逃し数 22,348名が、3年度にどのステージにいるかをシミュレーションを行い、各ステージの医療費をかけて、現
在価値に割り戻した。
(本プログラム使用時の) 3年後の治療費 = 3年後にStage1の場合 18,406,671,256円 + 3年後にStage2の場合
3,127,020,666円 + 3年後にStage3の場合 527,660,378円 + 3年後にStage4の場合 159,531,970円 + 3年後に死亡の場合
710,665,053円 = 22,931,549,322…⑥
⑥ - ⑤=-15,737,337,770
本プログラム使用時の早期がん見逃し数 13,253名= (早期がん発見数 64,273名+早期がん見逃し数 22,348名)×(1 - 本
プログラム感度 84.7%)
上記の早期がん見逃し数 13,253名が、3年度にどのステージにいるかをシミュレーションを行い、各ステージの医療費をかけ
て、現在価値に割り戻した。
10,399,301,914 - 895,057,107 - 15,737,337,770 = -6,233,092,963 ※小数点以下を切り捨てて表示しているため電卓の結
果と多少異なることがあります。
備考
⑪提案される医療技術において使用される医薬品、医療機
器又は体外診断薬
特になし
(主なものを記載する)
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