提案書11(2003頁~2199頁)医療技術評価・再評価提案書 (131 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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予想影響額(円)
減(-)
1億8,550万円
【X】提案される技術に係る予想年間医療費=診療報酬点数350点×10円×2月×対象患者数26,500名=1億8,550万円
【Y】提案される技術の保険収載に伴い減少すると予想される医療費
=患者1名あたり1ヶ月の褥瘡治療コストの減少-7,000円×年間患者数26,500名×算定可能期間2月=3億7,100万円
よって、年間医療費はX-Y =-1億8,550万円になると見積もられる。
予想影響額
その根拠
計算の根拠:先行研究によると、当該栄養管理を実施することにより、褥瘡の治癒期間が短縮する(文献5より、褥瘡治癒は
12週間で平均9.6日、16週間で平均16.2日間短縮する)。治癒期間短縮に伴い、8週間で栄養管理以外の褥瘡処置にかかる費用
が、患者1名あたり平均約5万円-1万5,000円の減少となったことが報告されている(文献2、5)。1月(4週間)に換算する
と、約2万5,000円-約7,500円の減少となり、減少幅の少ない-7,000円と見積もった。
また先行研究では、増分費用対効果比分析の結果、45-95%の確率で当該栄養管理は「優位(効果大/費用小)」に該当した。
(注)今回提案する対象患者は、前述の①の通り重度褥瘡処置の患者すべてではないが、現段階で具体的な推計ができないの
で、最大数として算出した。
なお、褥瘡の治癒期間が短くなることにより、在院日数を短縮できる可能性もあり、入院基本料などの退院までの医療費の削
減にもつながると期待されるが、根拠となる数値が不足しているためシミュレーションは実施しなかった。
備考
⑪提案される医療技術において使用される医薬品、医療機
器又は体外診断薬
特になし
(主なものを記載する)
⑫提案される医療技術の海外における公的医療保険(医療
保障)への収載状況
※ 該当する場合、国名、制度名、保険適用上の特徴
(例:年齢制限)等
2)調べたが収載を確認できない
特になし
⑬提案される医療技術の先進医療としての取扱い
⑭その他
1)を選択した場合は、下の欄に詳細を記載。
d. 届出はしていない
特になし
⑮当該申請団体以外の関係学会、代表的研究者等
一般社団法人
日本流動食協会
1)名称
2)著者
3)雑誌名、年、月、号、ページ
褥瘡予防・管理ガイドライン(第5版)
日本褥瘡学会学術教育委員会ガイドライン改訂委員会
日本褥瘡学会誌2022;24:29-85.
4)概要
第5版では「褥瘡の治療に高エネルギー・高蛋白質の栄養補給を提案する(推奨の強さ2C:行うことを提案する(弱い推
奨))」とされており、少なくともエネルギー30kcal/kg/日以上、蛋白質1.0g/kg/日以上が必要量とされている。
また、総論(Background Questions)にて「褥瘡患者に対して、亜鉛、アスコルビン酸、アルギニン、L-カルノシン、n-3
系脂肪酸、コラーゲン加水分解物、β-ヒドロキシβ-メチル酪酸、α-ケトグルタル酸オルニチンなど疾患を考慮したうえで
補給してもよい」とされている。第5版のガイドライン作成方法の変更により推奨度の付与はないが、前回の第4版では推奨度
C1とされていた。
なお、各特定栄養素により、以下の通り、エビデンスレベルが異なっている。
1a(システマティックレビュー):亜鉛、アルギニン(亜鉛・アスコルビン酸との併用含む)
1b(RCT):アスコルビン酸、n-3系脂肪酸、コラーゲン加水分解物、β-ヒドロキシβ-メチル酪酸、α-ケトグルタル酸オル
ニチン
2a(非ランダム化試験):L-カルノシン
1)名称
Efficacy of a Disease-Specific Nutritional Support for Pressure Ulcer Healing: A Systematic Review and MetaAnalysis.
2)著者
3)雑誌名、年、月、号、ページ
Cereda Eほか.
J Nutr Health Aging. 2017;21(6):655-661.
4)概要
ステージ2以上の褥瘡を有する70歳以上の入院患者に対するランダム化比較試験3件のメタアナリシスである。高エネルギー、
高蛋白質、アルギニン、亜鉛、抗酸化ビタミンを含む補助食品を経口または経腸栄養法により摂取した介入(138名)では、
通常栄養管理群に比べ(135名)、8週間で創面積が15.7%有意に減少した(p=0.030)。また、8週間での創面積減少40%以上の
達成率は、当該栄養管理群(69.6%)が通常栄養管理群(57.0%)より有意に高かった(オッズ比1.72, p=0.033)。8週間以
内の完全治癒についても、当該栄養管理群で高い傾向にあった(オッズ比1.72, p=0.127)。
1)名称
2)著者
3)雑誌名、年、月、号、ページ
Cost-effectiveness of a disease-specific oral nutritional support for pressure ulcer healing.
Cereda Eほか.
Clin Nutr. 2017;36(1):246-252.
4)概要
イタリアの多施設ランダム化比較試験の医療経済分析である。ステージ2以上の褥瘡のある低栄養患者に対し、アルギニン、
亜鉛、抗酸化物質を含む補助食品による栄養管理(67名)と、同量の熱量、蛋白質を摂取する通常栄養管理(71名)を8週間
比較した。当該栄養管理群では、通常栄養管理よりも創面積は22%減少していた。当該栄養管理群では、補助食品のコストが
39.4ユーロ(約5千円)高かった一方、人件費、創傷被覆材のコストは減少し(約1万5千円)、総コストは74.3ユーロ分(約1
万円)減少した。増分費用対効果比分析では、創面積を1%改善するための栄養管理コストは1.8ユーロ(約236円)であっ
た。感度分析では、約95%の確率で「優位(効果大/費用小)」に該当し、費用対効果に優れていた。*1ユーロ131.18円(調
査当時2013年平均)
⑯参考文献1
⑯参考文献2
⑯参考文献3
1)名称
2)著者
3)雑誌名、年、月、号、ページ
A multicenter, randomized, controlled study of the use of nutritional supplements containing collagen peptides
to facilitate the healing of pressure ulcers.
Yamanaka H, Okada S, Sanada H.
J Nutr Intermed Metabol. 2017;8:51-59.
4)概要
日本の多施設ランダム化比較試験である。対象は、経口または経腸栄養で60%以上の必要エネルギー量を摂取できている患
者、DESIGN-R分類D3、D4で感染徴候のない褥瘡、重篤またはコントロール不良の全身疾患・合併症がない患者であった。栄養
管理は、コラーゲン加水分解物、ビタミン、微量元素を含む補助食品摂取群(CP群18名)、アルギニン、亜鉛、抗酸化物質を
含む補助食品摂取群(Arg群17名)、通常栄養管理群(16名)とした。CP群では、通常栄養管理に比べ、4週間後にDESIGN-R合
計点が有意に改善した(CP群-5.5点、通常栄養管理群-2.0点, p<0.05)。Arg群では、2週目までDESIGN-R合計点は低下した
が、通常栄養管理と有意な差はなかった。
1)名称
2)著者
3)雑誌名、年、月、号、ページ
Cost-effectiveness of nutritional intervention on healing of pressure ulcers.
Hisashige A, Ohura T.
Clin Nutr. 2012 Dec;31(6):868-74.
4)概要
日本の多施設ランダム化比較試験の医療経済分析である。ステージ3-4の褥瘡のある寝たきり患者に対し、高エネルギー・高
蛋白質の半消化態栄養剤を用いた経管栄養により強化栄養管理(介入群30名)と、通常栄養管理(30名)を12週まで実施、16
週まで追跡した。12週間経過時に、介入によって「褥瘡保有日」が9.6日/人減少した。12週間の1人あたりのコストは介入群
3,081ドル(約34万2千円)、通常栄養管理群3,624ドル(約40万2千円)であり、介入によって542ドル(約6万円)節約され
た。換算すると8週間で約5万円、4週間で約2万5千円の減少となる。増分費用対効果比分析では45%の確率で「効果大/費用
小」に該当した。*1ドル111円(本文献にて使用されたレート)
⑯参考文献4
⑯参考文献5
※⑮については、1.の「主たる申請団体」および「上記以外の申請団体」以外に、提案される医療技術に関する研究、会合、論文発表等を実施している学会等
の関連団体や研究者等の名称を記載すること。
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