提案書11(2003頁~2199頁)医療技術評価・再評価提案書 (125 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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令和3年6月の社会医療診療行為別統計によると、皮下組織に至る褥瘡(筋肉、骨等に至る褥瘡を含む。)(DESIGN-R分類
D3、D4及びD5)が対象となる重度褥瘡処置(病院)の実施件数(患者数)は4,870件/月であり、1年間で、のべ58,440件
(4,870件×12ヶ月)となる。同一患者が2月分含まれていると考え、患者数は29,220人と考えられる。実施を電気刺激療法
はDESIGN-R分類D3及びD4を対象としており、「第4回(平成28年度)日本褥瘡学会実態調査委員会報告2」による褥瘡患者の
深度別比率から換算し、D3と D4が人数は、重度褥瘡処置の算定患者数の92.1%とし、対象者を約27,000人とした。実施は合
計14回であるため、実施回数を最大で378,000回とした。なお、今回提案する技術が、D3、D4の褥瘡を保有するすべての患
者に実施されることは考えづらいが、現段階で具体的な推計が困難であるため、患者数、実施回数とも最大数として算出し
た。
⑦医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)
日本褥瘡学会『褥瘡予防・管理ガイドライン第5版(2022)』では(文献1)、褥瘡の治癒促進に対して、電気刺激療法を行
うことを推奨され(推奨度:1A)、2019年に発刊された国際褥瘡ガイドライン(文献3)においてもエビデンスレベルAとし
て推奨されている。電気刺激療法はリハビリテーション技術としてすでに実施されているため、機器使用の習熟度について
は問題がない。ただし、電気刺激療法を褥瘡に対して使用する専門的な知識と技術を要するため、十分な経験が必要と考え
られる。
・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)
施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 なし
制等)
人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門 電気刺激療法および褥瘡に精通した5年以上の経験を有する理学療法士を配置する(非常勤も可)。
性や経験年数等)
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の なし
要件)
⑧安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度
電気刺激療法は、鎮痛目的・神経筋再教育目的に用いられている治療法であり、刺激強度を調整して用いることで安全に使
用されているものである。今回、「褥瘡予防・管理ガイドライン第5版(2022)]にて1Aと推奨された電気刺激療法は、最小
感知電流閾値を下回る電流強度(微弱電流刺激)であり、体表からの刺激においてマクロショックを生じさせる電流強度に
比べて100分の1以下の非常に弱いものである。そのため、電極貼付、出力設定を適切に行った場合のリスクはほとんどみら
れず安全である。エビデンスとして、褥瘡に対する電気刺激療法のシステマティックレビュー(11論文を分析)(文献4)
において、2論文でマイナーな有害事象報告(皮膚発赤、皮膚の痛み)があるが、微弱電流刺激を扱う論文では有害事象が0
件であった。
⑨倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)
問題なし
B
妥当と思われる診療報酬の区分
点数(1点10円)
200
下記は外保連試案の「重度褥瘡処置」の試案点数である。
試案では、技術度B、医師1、看護師1、10分で試算されて、3,074円(307点)である。
本提案では、「重度褥瘡」の患者に対して、技師が術者として20分の作業をすることを提案している。
術者技術者の技術度Bの時間給は8,140円であるので、20分で2,713円(207点)となる。
以上より、200点が妥当と考える。
⑩希望する診療
報酬上の取扱い
その根拠
(ここから)外保連試案データ--------------------------外保連試案費用(人件費+償還できない材料等):3,074円
外保連試案2022掲載ページ:320-321
外保連試案ID(連番):T51-14100 (重度褥瘡処置(1日につき) 1.100c㎡未満)
技術度:B 医師(術者含む):1 看護師:1 その他:0 所要時間(分):10
関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(③対象疾
患に対して現在
行われている医
療技術を含む)
区分
区分をリストから選択
番号
技術名
なし
なし
具体的な内容
なし
プラスマイナス
予想影響額(円)
53億2,710万円(療養病棟) / 8億1,000万円(在宅)
特になし
減(-)
褥瘡ガイドライン推奨度設定用原著論文において、治療期間を解析している論文において、褥瘡に対する電気刺激療法は創
閉鎖までの治療期間を65.7%に短縮する(34.3%の短縮)ことが、エビデンスの一つとなっている。(文献1、2、3)
「褥瘡治癒期間 褥瘡学会誌2001 調査委員会報告2」の文献によると、D3の平均治療期間は90日、D4では182日であるた
め、D3の平均治療期間90日の34.3%の短縮=約30日の短縮として医療経済性の計算をした。
具体的な試算については、患者の病状やどこで治療をしているかが多岐にわたるので、治療に係る処置料のコスト、医薬品
のコスト、特定保健医療材料等のコストは試算に入れず、治療期間の短縮に絞って算出した。
重度褥瘡の患者の病状を鑑み、2つ算出した。
予想影響額
その根拠
【Y-1】療養病棟への入院の場合:療養病棟入院料の中でも、一番低額である療養病棟入院料2-りの7,510円で試算した。
【Y-2】在宅の場合:在宅患者訪問看護・指導料イを、3日に一回の算定で試算した。
>>>>>>
【X】提案する技術に伴い発生が予想される医療費=診療報酬点数200点×10円×14回×対象患者数27,000名=7億5,600万円
【Y-1】提案する技術に伴い減少すると予想される医療費(療養病棟)
=褥瘡治療日数が30日短縮×751点(療養病棟入院料2-リ)×10円×対象患者数27,000名=60億8,310万円
【Y-2】提案する技術に伴い減少すると予想される医療費(在宅)
=褥瘡治療日数が30日短縮×580点(在宅医患者訪問看護・指導料イ)×10円÷3×対象患者数27,000名=15億6,600
万円
よって、年間医療費はX-Yとなり
【Y-1】療養病棟への入院の場合
7億5,600万円-60億8,310万円=マイナス53億2,710円
【Y-2】在宅の場合
7億5,600万円-15億6,600万円=マイナス8億1,000万円
備考
⑪提案される医療技術において使用される医薬品、医療
機器又は体外診断薬
(主なものを記載する)
⑫提案される医療技術の海外における公的医療保険(医
療保障)への収載状況
※ 該当する場合、国名、制度名、保険適用上の特徴
(例:年齢制限)等
特になし
1)収載されている
1)を選択した場合は、下の欄に詳細を記載。
米国にて、D3, 4の褥瘡に対する電気刺激療法が保険適用とされている。なお、医師あるいは理学療法士の管理下で実施
されない電気刺激療法は保険適用外である。
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