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提案書11(2003頁~2199頁)医療技術評価・再評価提案書 (195 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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⑧点数等見直し
の場合

見直し前
見直し後

0点/日(チーム加算は設定されていない)
1,700点/日(3日を限度)

その根拠

人工膵臓療法を多職種間のタスクシェアによるチーム医療で行うことで、これまで医師が行ってきたタスクの内、医師である必要のない対応につ
いて、チーム内の看護師、臨床工学技士が対応できる。医師の指示に従い、看護師による採血・注入ルートの監視や調整、(警報発報時の)ア
ラーム対応、継続的な血糖値の記録・管理、臨床工学技士による消耗品交換やアラーム対応などそれぞれの専門性に合った医療提供ができ、医師
への負担集中を防ぐことができる。また、チーム医療が適切に運用された場合、チーム内ならびに院内で職種を超えたコミュニケーションの活性
化が図られ、役割分担の認識共通化、患者管理方針の実施計画立案と共有、適切なチーム編成に加えて、その専門性および連携を高めるための継
続的な研修と環境整備、業務フローの定期的な見直しが容易となる。タスクシェアするには、分担する役割(タスク)が履行出来るようチーム員
の教育が必要であり、教育も含めてタスクシェアのための準備作業が必要である。
そのために、医師によるチーム管理、看護師および臨床工学技士による実作業に対する人件費充当が必要となる。人件費として、外保連 処置試
案記載(2022年度版)の当該療法の人件費(技術度区分B、術者医師19,390円/時間、協力看護師2,960円/時間、協力者技師(士)等2,740円/時
間)から想定。術者医師に関してはチーム運営に伴う作業指示等の時間が発生するが、医師に集中していた負荷が分散されることで追加の医師人
件費は発生しない。看護師に関しては人工膵臓療法の実施に伴い、2時間の労働工数が想定されていたが、ICU・病棟などでの持続的な装置表示情
報の記録や確認作業を終日行われており、患者が術前は病棟から手術室へ、術後は手術室からICU/病棟へ移動する際、複数部署の看護師が役割を
持って患者に関与することから、病棟・オペ室・ICUと部署を超えた連携が必要であるために、チームを構成する看護師は1名ではなく、3部署の
看護師各1名として3名の労働連携を必要とする。一方、臨床工学技士が対応する作業については終日の持続的な対応ではないが、消耗品交換やア
ラーム対応などを断続的に日勤者、夜間当直者がそれぞれ対応に当たることを想定し、2名分の労働工数を必要とする。これらのことから、看護
師2,960円/h、臨床工学技士2,740円/hの時給にて想定し、看護師2,960円/h×2h×2名、臨床工学技士2,740円/h×2h×1名がチーム運用に必要な人
件費として追加、計算される。このため、本加算を1,700点とした。

区分
⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)

特になし

区分をリストから選択

番号
技術名

特になし
特になし

具体的な内容

特になし
減(-)

プラスマイナス

⑩予想影響額

予想影響額(円)

約165億800万円

その根拠

上述の通り、対象患者数は27,305人、使用回数は年間81,915回と見込まれる。人工膵臓装置を適用することで、低血糖を防止しつつ術後感染症が
回避できることにより、感染症発生時に使用される医療資源の削減と、ICU在院期間の短縮が見込まれる(参考文献2)。その削減効果は760,608
円/症例($5,472 為替レート1$=139円にて換算、参照文献:Okabayashi T et al, Diabetes Care, 2009, 32, 1425-1427)と見込まれており、
27,305症例に使用されることから約207億6,800万円の医療費削減が見込まれる。人工膵臓療法適用による、今回要望するチーム医療加算を含めた
診療報酬(3,500点+1,700点/日)の総額は、81,915回に対して約42億6,000万円と見込まれるが、前述の医療費削減額から差し引いても約165億
800万円の医療費削減効果が見込まれる。

備考

特になし

⑪算定要件の見直し等によって、新たに使用される医薬
品、医療機器又は体外診断薬

特になし

⑫その他

特になし

⑬当該申請団体以外の関係学会、代表的研究者等

人工膵臓関連学会協議会(構成学会:日本移植学会、日本肝胆膵外科学会、日本胸部外科学会、日本外科学会、日本集中治療医学会、日本消化器
外科学会、日本人工臓器学会、日本心臓血管外科学会、日本糖尿病学会、日本麻酔科学会、日本臨床外科学会)

⑭参考文献1

⑭参考文献2

⑭参考文献3

⑭参考文献4

⑭参考文献5

1)名称

What is the optimal range of glycemic control for non-diabetic patients undergoing gastroenterological surgery? A single-center
randomized controlled trial using an artificial pancreas

2)著者

Tanioka N, et al.

3)雑誌名、年、月、号、ページ

Artificial Organs. 2023(in press)

4)概要

非糖尿病の消化器外科症例において人工膵臓療法を実施し、血糖目標域を80-110mg/dLと110-140mg/dLの2群間で術後3日目の炎症の程度、合併症
発生率、手術死亡率、入院期間を比較研究し有意差が出なかった。なお、厳格血糖管理を行ったにもかかわらず、どちらの血糖管理群でも低血糖
は発生せず、より安全に血糖管理が実施された。

1)名称

消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン2018

2)著者

日本外科感染症学会

3)雑誌名、年、月、号、ページ

消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン2018、159-161

4)概要

強化血糖管理が手術部位感染(SSI)の発生を抑制するか、に関して抽出された複数の論文のメタアナリシスを行った。結果として強化血糖管理が
SSIや術後合併症の発生を抑制する一方で、低血糖の発生リスクも有意に高率であった。メタアナリシスに含めたエビデンスの一つにおいて人工
膵臓装置を用いた介入群では低血糖エピソードは生じなかったことが報告されている。

1)名称

Utility of bedside artificial pancreas for postoperative glycemic control in cardiac surgery.

2)著者

Urai S, et al.

3)雑誌名、年、月、号、ページ

Journal of Artificial Organs. 2021; 24(2); 225-233

4)概要

心臓外科手術を受けた患者で術後15時間、人工膵臓装置によって強化血糖管理を行ったが、70mg/dL未満の低血糖エピソードは発生せず、術後に
おいて、同じ目標血糖範囲を維持するのにも必要なインスリン量は大きく変動していることからインスリン抵抗性の変化が示唆された。

1)名称

Standards of Medical Care in Diabetes-2022.

2)著者

American Diabetes Association.

3)雑誌名、年、月、号、ページ

Diabetes Care. 2022;45:S244-S253.

4)概要

米国糖尿病学会のガイドライン(2022年)において、重症患者、非重症患者含めて入院患者の血糖管理を行うことが推奨されている。

1)名称

Blood glucose control using an artificial pancreas reduces the workload of ICU nurses

2)著者

Mibu K, et al.

3)雑誌名、年、月、号、ページ

Journal of Artificial Organs, 2012, vol.15(1), 71-76

4)概要

ICU看護師が血糖管理に対応する労働負担について、人工膵臓装置を用いた場合と、従来法であるスライディングスケール法を用いた場合を比較
した。結論として人工膵臓装置を用いて血糖管理を行った群のほうが、血糖管理に関する採血回数、ダブルチェックの回数、医師コール回数、所
要時間について、少ないことが確認された。

※⑬については、1.の「主たる申請団体」および「上記以外の申請団体」以外に、提案される医療技術に関する研究、会合、論文発表等を実施している学会等の関連団体や研
究者等の名称を記載すること。

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