よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


提案書11(2003頁~2199頁)医療技術評価・再評価提案書 (33 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

⑧点数等見直し
の場合

見直し前
見直し後

12,470点
22,100点

その根拠

POEM を保険診療で行う際の施設基準のひとつとして、『内視鏡的食道粘膜切開術(早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術に限る)について20例 以上の経
験を有する常勤の医師が1名以上配置されていること』とある。早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術の保険点数が22,100点であるため、保険点数も同一
とした。

区分
⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)

番号
技術名

特になし

区分をリストから選択
なし

具体的な内容
減(-)

プラスマイナス

⑩予想影響額

予想影響額(円)

331,520,000円

その根拠

これまでのアカラシアの治療の流れは、『治療の侵襲度の低いバルーン拡張術を複数回行った後、効果が乏しければ、腹腔鏡手術を行う(従来
法)』というものであった。仮にバルーン拡張術(12,480点) を2回行った後に、 腹腔鏡手術(44,500点)を行うと、計69,460点となる。一
方、POEMの場合、バルーン拡張術と同じ内視鏡治療であるため、患者側の受け入れが良く、1回で治療が完了する。仮にPOEMの保険点数を、早期
悪性腫瘍粘膜下層剥離術(22,100点)と同じものに設定すると、1回の治療で終了するPOEMの保険点数の方が、バルーン拡張術と腹腔鏡手術を合
わせた全保険点数よりも、一人の患者あたり(69,460点-22,100点=47,360点)低いものとなる。日本内視鏡外科学会のアンケート調査および国
内のPOEM多施設共同研究からのデータによると、2019年度にアカラシアに対し、POEMもしくは腹腔鏡手術が行われた件数は約700件(POEM630件、
腹腔鏡手術70件)であった。これらの情報を元に計算を行うと、腹腔鏡手術を行うよりも、POEMを行った方が、年間で、47,360点×10円/点×年
間対象患者数(700人)=331,520,000円削減されることになる。またPOEM単回による治療の方が、患者の受診回数や医療機関における検査数も減
ずることができるため、総合的にみて、医療コストは削減されると考えられる。

備考

⑪算定要件の見直し等によって、新たに使用される医薬
品、医療機器又は体外診断薬

なし

⑫その他

なし

⑬当該申請団体以外の関係学会、代表的研究者等

日本内視鏡学会

1)名称

Peroral endoscopic myotomy (POEM) for esophageal achalasia

2)著者

Inoue H., Minami H., Kobayashi Y., Sato Y., Kaga M., Suzuki M., Satodate H., Odaka N., Itoh H., Kudo S.
Endoscopy 2010;42:265-71.

⑭参考文献1

⑭参考文献2

⑭参考文献3

3)雑誌名、年、月、号、ページ

4)概要

アカラシアに対するPOEMが世界で初めて報告された論文。2008年9月から2009年12月までに行われたPOEM17症例を検討。

1)名称

Peroral endoscopic myotomy for achalasia: a prospective multicenter study in Japan.

2)著者

Shiwaku H., Inoue H., Sato H., Onimaru M., Minami H., Tanaka S., Sato C., Ogawa R., Okushima N., Yokomichi H.

3)雑誌名、年、月、号、ページ

Gastrointestinal Endoscopy 2020;91:1037-44 e2.

4)概要

国内で行われた多施設共同前向き研究。国内8施設で行われた233例のPOEMを前向きに検討。POEM後3か月目と1年目の奏効率は97.1%、97.4%。
10.3%に軽度(Clavien-Dindo分類 ≤IIIa)の偶発症を認めたが、全て保存的加療にて経過した。致命的なものは1例も認めなかった。POEM後の胃
食道逆流症に対し、21.1%の患者が酸分泌抑制薬を継続的に内服。

1)名称

Epidemiological analysis of achalasia in Japan using a large-scale claims database.

2)著者

Sato H., Yokomichi H., Takahashi K., Tominaga K., Mizusawa T., Kimura N., Kawata Y., Terai S.

3)雑誌名、年、月、号、ページ

J Gastroenterol 2019;54:621-7.

4)概要

2005~17年のレセプトデータベースを元に、国内のアカラシアの疫学調査をおこなった研究。罹患率は10万人年当たり0.81~1.37、期間有病率は
10万人当たり7.0。年齢層にわたって、罹患率および期間有病率に統計学的に有意な増加傾向があった。アカラシアを有する食道がんの罹患率は
100人年当たり0.25と推定された。治療介入については、64.7%の患者に初回治療として食道拡張術が行われ、そのうち56.9%で再治療が必要と
なっていた。POEMで治療された患者の割合は年々増加し、2017年は41.1%であった。

1)名称

Endoscopic or Surgical Myotomy in Patients with Idiopathic Achalasia.

2)著者

Werner Y. B., Hakanson B., Martinek J., Repici A., von Rahden B. H. A., Bredenoord A. J., Bisschops R., Messmann H., Vollberg M.
C., Noder T., Kersten J. F., Mann O., Izbicki J., Pazdro A., Fumagalli U., Rosati R., Germer C. T., Schijven M. P., Emmermann A.,
von Renteln D., Fockens P., Boeckxstaens G., Rosch T.

3)雑誌名、年、月、号、ページ

New England Journal of Medicine 2019;381:2219-29.

4)概要

国外の多施設においてPOEMとHeller-Dor手術を前向きに比較検討した研究。POEM後2年目の奏効率はPOEM83%、腹腔鏡手術81.7%と同等な結果で
あった。重篤な偶発症はPOEM2.7%、腹腔鏡手術7.3%。術後のびらん性食道炎はPOEM44%、腹腔鏡手術29%であったが、Los Angeles分類GradeC
以上の重篤なものは、POEM5%、腹腔鏡手術7%と変わらなかった。

1)名称

Clinical practice guidelines for peroral endoscopic myotomy.

2)著者

Inoue H., Shiwaku H., Iwakiri K., Onimaru M., Kobayashi Y., Minami H., Sato H., Kitano S., Iwakiri R., Omura N., Murakami K.,
Fukami N., Fujimoto K., Tajiri H.

3)雑誌名、年、月、号、ページ

Digestive Endoscopy 2018;30:563-79.

4)概要

日本消化器内視鏡学会より公開されたPOEMガイドライン(和文、英文あり)。POEMは全てのアカラシアに対して有効である。手術やバルーン拡張
が困難なシカゴ分類typeⅢのアカラシアに対しては第一選択となる。

⑭参考文献4

⑭参考文献5

※⑬については、1.の「主たる申請団体」および「上記以外の申請団体」以外に、提案される医療技術に関する研究、会合、論文発表等を実施している学会等の関連団体や研
究者等の名称を記載すること。

2035