提案書11(2003頁~2199頁)医療技術評価・再評価提案書 (56 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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の正確性について従来法とHRMを比較した検討では、HRMのほうがより正確に診断できた(Am J Gastroenterol, 2015; 110(7): 967-977)。 iii)
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 従来法とHRMの比較については多施設共同ランダム化比較試験も行われ、HRMはアカラシアの診断精度がよく、より早期に食道運動障害を検出する
ことができた(Am J Gastroenterol, 2016; 111(3): 372-380)。iv) (※)胃食道逆流症(GERD)における食道胃接合部のバリア機能評価にHRMが有用
後等のアウトカム
である(Gut, 2018;67(7): 1351-1362)。
「追加のエビデンスには※を付記」
③再評価の根
拠・有効性
ガイドライン等での位置づけ
④普及性の変化
※下記のように推定した根拠
年間対象者数の
変化
年間実施回数の
変化等
社会医療診療行為別統計によると、2018年6月および2019年6月、2020年6月、2021年6月の「食道内圧測定検査」の実施件数はそれぞれ125、169、
125、83、104件であった。月に約150件行われていると仮定すると、年間の実施件数は約1,800件である。検査回数は概ね1人1回であるが、治療効
果判定などにより30%程の割合で複数回実施されることを考慮し、現時点での年間対象患者数は1,500人、年間実施回数は1,800回と算出した。現
状では、食道内圧測定検査は主に食道運動障害の診療に行われているが、再評価により難治性胃食道逆流症(GERD)の病態評価や手術・内視鏡治療
前評価に行われるようになると、施行件数は増加するものと予想される。30%程度増加すると仮定すると、対象患者は2,000人、年間実施回数は
2,500回と算出した。
見直し前の症例数(人)
1,500
見直し後の症例数(人)
2,000
見直し前の回数(回)
1,800
見直し後の回数(回)
2,500
⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)
・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)
i) シカゴ分類は国際ワーキンググループにより作成され、全世界に普及している
(Neurogastroenterol Motil, 2015;27(2): 160-174,Neurogastroenterol Motil,
2020;33:e14058)。ii) 食道アカラシアの国際ガイドラインではHRMが推奨されている(Dis
Esophagus, 2018;31(9): 1-29)。 iii) 本邦で作成されたPOEMガイドラインでもHRMを行う
ことが推奨されている(日本消化器内視鏡学会雑誌 2018;60(6):1249-1270)。iv) 胃食道逆
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す 流症(GERD)の国際ワーキンググループによるコンセンサスレポートでは、GERDの病態評価
る。)
にもHRMが有用とされている(Gut, 2018;67(7): 1351-1362)。v) 本邦で作成されたGERDガ
イドライン2021では薬物治療抵抗性GERDの鑑別診断の一つに食道運動障害が挙げられてお
り、HRMの有用性も記載されている。vi) (※)最新のAmerican College of
GastroneterologyのGERDクリニカルガイドラインでは、GERDに対する手術を行う前にはHRM
を行うことが推奨されている(Am J Gastroenterol, 2022 2022;117:27–56)。
「追加のエビデンスには※を付記」
食道運動障害の診断にはHRMを用いたシカゴ分類による評価が不可欠となっている。シカゴ分類による評価は国際的に標準化されており、最新の
ものはv4.0にアップデートされている。日本消化管学会では『食道運動障害診療指針』を作成しており、この指針はHRMを用いたシカゴ分類の解
説が主な内容となっている。また、GERD診療ガイドライン2021にも、HRMによる病態評価の重要性が記載されている。外保連試案での難易度はDと
位置付けられているが、HRMは食道運動障害診療初学者でもわかりやすいことが示されており、海外では看護師が検査を行い、医師が診断を行っ
ている施設もある。ただし、GERD診療ガイドラインでは難治性GERDに対する専門的な病態評価の一つとしてHRMを行うことと位置付けられてい
る。
施設の要件
HRMは従来法に比べて容易であり、シカゴ分類を用いると初学者でも食道運動障害の診断ができることから、特定の施設基準の設定は必要ない。
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 海外では看護師が検査を行っている施設もある。
制等)
人的配置の要件
HRMは従来法に比べて容易であり、シカゴ分類を用いると初学者でも食道運動障害の診断ができることから、経験年数などの要件設定は必要な
(医師、看護師等の職種や人数、専門 い。ただし、外保連試案では検査には2人の医師と1人の看護師が必要と記載されている。
性や経験年数等)
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の シカゴ分類v4.0、POEM診療ガイドライン、GERD診療ガイドライン2021など
要件)
⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度
従来法とHRMを比較したランダム化試験では、HRMでは従来法に比べて検査後の咽頭痛が多かったと報告されているが、重篤な有害事象は報告され
ておらず、安全性に関しては問題ない。
⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)
該当なし。
⑧点数等見直し
の場合
見直し前
見直し後
780
11,540
その根拠
外保連試案費用(人件費+償還できない材料等):115,400円
外保連試案2020掲載ページ:360
外保連試案ID(連番):E61 1-1040
技術度:D 医師(術者含む):2 看護師:1 その他:0 所要時間(分):60
区分
⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)
D
番号
技術名
232
食道内圧測定検査
具体的な内容
食道運動障害の診断及び治療方法の選択のために実施された場合に算定する検査である。従来法での圧測定部位は5-7cm間隔で3-5個であり、測定
部位の間に限局した異常は捉えることができない。また、使用する検査機器により圧測定部位の数や圧測定間隔が異なっており、蠕動波のパラ
メータを定量化することができない。そのため、食道運動障害の診断には食道運動の病態生理に精通していることが不可欠であり、特徴的な内圧
所見を箇条書きにした食道運動障害の分類を用いて診断を行う必要がある。上記のように従来法に比べてHRMの有用性は明らかであることから、
HRMが普及すれば従来法はほとんど行われなくなると予想される。実際に、現在はほとんどの施設でHRMが行われており、従来法で行っている施設
は非常に少なくなっている。ただし、すべての施設でHRMを導入することは不可能であり、従来法を行うにしても現在の点数は非常に低く設定さ
れている(外保連試案では780点)ことから、削除や減点は妥当ではない。
増(+)
プラスマイナス
⑩予想影響額
予想影響額(円)
276,060,000円
その根拠
現在かかっている医療費:14,040,000円/年
現在の食道内圧測定検査料:7,800円
当該技術導入後の医療費:290,100,000円/年
当該技術導入後の検査料:115,400円
影響額:290,100,000-14,040,000=276,060,000円
備考
上記のように当該技術を導入すると予想影響額は大きくプラスになってしまうが、プロトンポンプ阻害薬抵抗性GERDの30%に食道運動障害が認め
られたとの報告もあり、当該技術により正確な病態評価を行うことで、不必要な酸分泌抑制薬投与を抑制することができる。
⑪算定要件の見直し等によって、新たに使用される医薬
品、医療機器又は体外診断薬
高解像度食道運動機能検査機器
⑫その他
特記事項なし。
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