提案書01(0001頁~0202頁)医療技術評価・再評価提案書 (1 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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201201
提案される医療技術名
抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎に伴う急速進行性間質性肺炎に対する血漿交換療法
整理番号
申請団体名
日本アフェレシス学会
10リウマチ内科
主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科
02呼吸器内科
関連する診療科(2つまで)
リストから選択
提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した
医療技術の提案実績の有無
有
過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年
度)
「実績あり」の
場合、右欄も記
載する
提案当時の医療技術名
令和4年度
抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎に伴う急速進行性間質性肺炎に対する血漿交換療法
有
追加のエビデンスの有無
J
診療報酬区分
診療報酬番号
再評価区分(複数選択可)
J039
1-A
算定要件の見直し(適応)
1-B
算定要件の見直し(施設基準)
該当する場合、リストから○を選択
1-C
算定要件の見直し(回数制限)
該当する場合、リストから○を選択
2-A
点数の見直し(増点)
該当する場合、リストから○を選択
2-B
点数の見直し(減点)
該当する場合、リストから○を選択
3
項目設定の見直し
該当する場合、リストから○を選択
4
保険収載の廃止
該当する場合、リストから○を選択
5
新規特定保険医療材料等に係る点数
該当する場合、リストから○を選択
6
その他(1~5のいずれも該当しない)
該当する場合、リストから○を選択
「6
提案される医療技術の概要(200字以内)
○
その他」を選んだ場合、右欄に記載
血漿交換療法は、幅広い診療科にまたがるような様々な治療抵抗性難治性疾患に対しても既にこれまでに有効性が認められ保険算定がなされてい
るが、近年治療抵抗性の場合に非常に予後が悪い抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎に伴う急速進行性間質性肺炎に対してもその著明な生存効果、有効性が
相次いで報告されている。このため、同疾患に対する血漿交換療法の保険適応算定要件の拡大を提案する。
文字数: 180
再評価が必要な理由
自己炎症性筋疾患の一つである皮膚筋炎、多発性筋炎には、疾患特異的自己抗体が存在している。そのうち抗melanoma-differentiation
associated gene 5(MDA5)抗体を持つ患者の中には、急速進行性間質性肺炎を発症することがあり、一度発症すると急速進行性の呼吸不全をき
たしその予後は非常に不良である。多剤併用療法による治療が有効とされているが、治療抵抗性を示す患者も25%ほど存在し、そういった症例で
は2カ月以内と早期に死亡することは今なお大きな問題である。希少疾患であるためランダム化比較試験などの大規模コホート研究が策定しにく
いという事情があるが、本症に対して免疫抑制療法に加えて血漿交換療法を併用することで良好な結果を得たという複数のケースシリーズ報告と
ともに、歴史的対照群と比較したケースコントロール研究により血漿交換療法追加による同疾患の予後の改善効果が示されている。早期に集学的
治療の一環として血漿交換療法を併用することで、血中のサイトカイン、病因抗体、免疫複合体などの病態因子を直接除去することにより、こう
いった効果が発揮されると考えられている。これをもとに日本アフェレシス学会作成の治療ガイドラインにも本疾患に対する血漿交換療法の施行
について、弱いながらも「推奨」との記載がなされている。本症に対し血漿交換療法を施行することで同疾患の予後をさらに改善し、それにより
新たに救命される患者が本邦において年間50-100名程度存在すると見込まれる。患者一人当たり 3,675,000円ほどと見込まれる治療により、25年
間の延命(現行治療での平均死亡年齢と救命率、期待される平均寿命との差分で換算)が期待できることになり、増分費用効果比:Incremental
Cost Effectiveness Ratio (ICER)は147,000円/QALYとなる。現状ではなかなか治療の手段が乏しく、若くして亡くなりうる難病の方を、このよ
うな小さいICERで示されるような費用対効果で救命することが出来るかもしれない。このため、本症に対する血漿交換療法の算定要件の拡大を要
望する。
【評価項目】
①再評価すべき具体的な内容
(根拠や有効性等について記載)
現行では血漿交換療法は、多発性骨髄腫、マクログロブリン血症、劇症肝炎、薬物中毒、重症筋無力症、悪性関節リウマチ、全身性エリテマトー
デス、血栓性血小板減少性紫斑病、重度血液型不適合妊娠、術後肝不全、急性肝不全、多発性硬化症、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎、ギラン・
バレー症候群、天疱瘡、類天疱瘡、巣状糸球体硬化症、抗糸球体基底膜抗体(抗GBM抗体)型急速進行性糸球体腎炎、抗白血球細胞質抗体(A
NCA)型急速進行性糸球体腎炎、溶血性尿毒症症候群、家族性高コレステロール血症、閉塞性動脈硬化症、 中毒性表皮壊死症、川崎病、ス
ティーヴンス・ジョンソン症候群若しくはインヒビターを有する血友病の患者、ABO血液型不適合間若しくは抗リンパ球抗体陽性の同種腎移
植、 ABO血液型不適合間若しくは抗リンパ球抗体陽性の同種肝移植又は慢性C型ウイルス肝炎といった膠原病を含む各疾患に対し有用性が認
められており、これまでに診療報酬区分・処置として保険適応算定が認められている。今回我々は、令和2年度、令和4年度に続いて、これらの疾
患群に加えて「抗MDA5抗体陽性の無症候性皮膚筋炎に合併した急速進行性間質性肺炎に対する血漿交換療法も保険適応算定に加えて頂く」ことを
提案させて頂く。皮膚筋炎、多発性筋炎は原因不明の自己炎症性筋疾患であるが、これまでに抗Jo-1抗体を含む抗Anti-aminoacyl-tRNA
synthetase (ARS)抗体、抗melanoma-differentiation associated gene 5 (MDA5)抗体、抗transcriptional intermediary factor (TIF) 1-γ抗
体、などのいくつかの疾患特異的自己抗体が報告されており、それらにより病態の表現型がある程度規定されている。典型的な皮疹を示す皮膚筋
炎(dermatomyositis:DM)の中でも、身体所見上は明らかな筋症状を認めない一群の病型は筋無症候性皮膚筋炎(amyopathic DM:ADM)と呼ば
れ、治療抵抗性の急速進行性間質性肺炎(rapidly progressive interstitial lung disease:RP-ILD)を合併することが特徴的である。抗MDA5
抗体は、本邦からの報告ではDM及びADMの患者22.9~58.3%ほどの血清中に認めるとされており、この抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎患者のうち71%程が
急速進行性間質性肺炎を発症すると報告されている。本症は特に本邦をはじめとしたアジアにおいてその合併率が高く、既存の集学的治療によっ
ても予後が非常に悪かったことが非常に大きな問題となっていた。従前2年生存率は28.6%ほどとされていたが、2013年に大量ステロイドとともに
シクロスポリン、シクロホスファミド静注を用いた治療法の有用性が報告され、2年生存率が75%へと改善したとされている(Nakashima R, Mimori
T: Nihon Rinsho Meneki Gakkai Kaishi 2013;36:71-76)。しかしなお依然として、抗MDA5抗体陽性の急速進行性間質性肺炎は発症から6ヵ月で
25%の患者が治療抵抗性を示し早期に死亡する予後不良な疾患である。多剤併用免疫抑制療法に反応しない重篤な抗MDA5抗体陽性間質性肺炎症例
に対する追加治療に関してこれまでに様々な方法が提唱されていたところであったが、2013年以降大阪医科大学、京都大学、順天堂大学、長崎大
学など本邦の様々な研究グループからそれぞれ単純血漿交換療法の有効性と予後の改善効果を示唆する報告がなされていた。近年も治療抵抗性の
難治性症例における単純血漿交換療法併用の有用性が相次いで報告されている(Shirai T, et al: Clin Exp Rheumatol 2023;41:291300,Thompson TZ, et al: J Clin Apher 2022; Online ahead of print, Bay P, et al: J Autoimmun 2022;133:102941, Kagitani M, et al:
Ther Apher Dial 2023;27:152-158, Hiraoka D, et al: Mod Rheumatol Case Rep 2022;6:194-198, Tsuji H,et al: Arthritis Rheumatol
2020;72:488-98, Shirakashi M, et al: Rheumatology (Oxford) 2020;59:3284-92, Abe Y, et al: Rheumatology (Oxford) 2020;59:767-71)こ
れらの結果を背景に、抗MDA5抗体陽性の無症候性皮膚筋炎に合併した急速進行性間質性肺炎に対する血漿交換療法の保険適応追加を要望する。
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