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提案書01(0001頁~0202頁)医療技術評価・再評価提案書 (178 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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研究結果

単剤投与のPhaseⅠ試験において、再発・難治神経芽腫30症例に対し、奏効率は37%であった。
J Clin Oncol. 1998 Jan;16(1):229-36.(参考文献1)
18mCi/kg(666MBq/kg)を投与し、自家造血細胞移植を併用した、PhaseⅡ試験において、再発・難治神経芽腫164症例に対
し、奏効率は同様に36%であった。
J Clin Oncol 2007; 25:1054-60.(参考文献2)
初発診断時又は再発時に少なくとも1箇所以上I-123-MIBGの集積陽性が確認された高リスク群神経芽腫を対象として、
666MBq/kgのI-131-MIBGを静脈内投与し、その後14日以内に大量化学療法、21日以内に造血幹細胞移植を実施し、安全性及び
有効性について評価された国内第Ⅰ/Ⅱ相試験(先進医療B)において、全例(8例)に用量制限毒性は見られなかったこと、
RECIST1.1による奏効率は0%(SDが87.5%(7/8例)、1例(12.5%)は登録時にCT画像で病変が検出されず評価不能)、MIBGシ
ンチグラフィーによる奏効率は62.5%(CRが62.5%(5/8例)、SDが37.5%(3/8))、生存期間は観察期間中(中央値1.6年(範
囲:0.5~2.5年))に死亡した症例はなかったことが示されている。
Eur J Nucl Med Mol Imaging. 49, 1574-1583(2022). (参考文献3)
2a

⑤ ④の根拠と
なる研究結果等

ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
る。)

ガイドライン等での位置づけ

年間対象患者数(人)

40

国内年間実施回数(回)

160

小児がん診療ガイドライン、2016年版、日本小児血液・がん学会
(参考文献4)については、診療アルゴリズムにおいて、高リスク
の神経芽腫に対する後治療の一つとして位置付けられており、クリ
ニカルクエスチョン「CQ22. 神経芽腫へのMIBG治療は有効か、その
適応は」に対して、「MIBG治療の有効性は再発・難治例で示されて
いるが、初発例に対する有効性は明らかでない。(推奨度・エビデ
ンスレベル グレード 2C)」と記載されており、MIBG治療は、ラジ
オアイソトープを用いるため、被曝の問題から2~7日間の隔離が必
要となるため、低年齢では適応しにくい治療法であること、わが国
では保険適用になっていないこと、等が解説されている。
また、クリニカルクエスチョン「治療効果判定の方法は」に対し
て、「治療反応性は予後に関連している。高リスク群患者では、
MIBGなどで治療効果判定を行うことを推奨する。(推奨度・エビデ
ンスレベル グレード1C)」と記載されている。

⑥普及性

小児がん診療ガイドライン、2016年版、日本小児血液・がん学会(参考文献4)において、神経芽腫は、本邦では年間320例
前後の新規患児が発生しており、患者の年齢分布としては、1歳未満が51%、1~3歳が28%、4歳以上が21%であること、また、
患者の約70%は初診時に転移巣がみられるが、予後は診断時年齢(18ヵ月)、臨床病期、生物学的因子(MYCN遺伝子増幅、
等)と強く関連し、1歳未満の乳児では進行期であっても長期生存の可能性が高いが、年長児の進行期では、強力な治療を
行っても長期生存の可能性が明らかに低いことが記載されている。
本剤はI-123-MIBGシンチグラフィ検査で病変にI-123-MIBGの集積が確認された患者への投与が想定されるが、神経芽腫の約
90%にノルアドレナリントランスポーターが発現していることが報告されている。
※患者数及び実施回数の推定根拠等

国民健康・栄養調査報告、令和元年、厚生労働省において、本邦の1歳、2歳、3歳、4歳の平均体重は、それぞれ10.3、12.2、
13.8、16.4kgと報告されており、当該薬剤の用量(666MBq/kg)を考慮した際、年齢別のI-131の平均投与放射能量は、それぞ
れ、6,860、8,125、9,191、10,922MBqとなり、放射線治療病室への入院は必須となる。
1日に10,000MBqを超えるI-131を使用可能な放射線治療病室を有する施設は極めて限られるが、放射線治療病室への単独入院
や注意事項の遵守が実現可能な高リスク患者の年齢は、4歳以上(21%)と仮定する。
他の放射性同位元素内用療法管理料は、1回の治療後、4月間経過観察する際にも月1回を限度に当該診療報酬は算定可能であ
り、当該治療も同様に経過観察が必要である。
以上より、治療実施可能な患者数及び実施回数は、それぞれ、約40人/年、実施回数は約160回/年となる。
320人/年 × 70%(初診時転移率) × 90%(ノルアドレナリントランスポータ発現率)× 21%(4歳以上率)× 4回

⑦医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

・対象疾患のRI内用療法に習熟した医師が行うことが望ましい。当該治療に関しては、医療の安全確保と同時に、日本核医学
会が準備中の「3-ヨードベンジルグアニジン(I-131)注射液を用いたMIBG集積陽性の治癒切除不能な神経芽腫に対する核医
学治療の適正使用マニュアル」等、対象疾患に沿ったマニュアル により、放射線安全取扱研修会において本治療の専門知識
を修得したと認定された放射線安全管理責任者(常勤の医師)が1名、放射線安全管理担当者(診療放射線技師又は看護師)
が1名以上配置されている等の遵守基準を満たした施設で実施することが想定されている。
・放射性同位元素内用療法の管理技術としては、これまでも甲状腺癌に対するヨウ化ナトリウムカプセル(131I)、固形癌骨
転移による疼痛に対する塩化ストロンチウム(89Sr)注射液を用いた治療、B細胞性非ホジキンリンパ腫に対するイットリウ
ム(90Y)標識イブリツモマブチウキセタンを用いた治療、骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌に対する塩化ラジウム(223Ra)
注射液を用いた治療、神経内分泌腫瘍に対するルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)及び褐色細胞腫に対する3-ヨードベ
ンジルグアニジン(131I)について施行されてきており、保険適用もなされている。

施設の要件
・非密封放射性同位元素を使用する放射線治療病室の構造設備基準を満たしている。
(標榜科、手術件数、検査や手術の体制 ・放射線に係る管理体制(被ばく防護、院内教育訓練等)が整えられている。
等)
人的配置の要件
・当該治療に係る放射線安全管理責任者(常勤の医師)が1名配置されている。
(医師、看護師等の職種や人数、専門性 ・当該治療に係る専門的知識を習得した放射線安全管理担当者(看護師又は診療放射線技師)が適切に配置されている。
や経験年数等)
その他
医療法施行規則における法令、並びに小児がん診療ガイドライン2016(参考文献4)等の関連学会におけるガイドラインを遵
(遵守すべきガイドライン等その他の要 守する。
件)

⑧安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

先進医療Bにおいて、用量制限毒性(大量化学療法及び造血幹細胞移植に支障を及ぼすMIBG治療による有害事象)は認められ
なかった。また、当該試験期間中に認められた主な有害事象のうち、I-131-MIBG治療、大量化学療法及び造血幹細胞移植との
因果関係が否定できないあるいは不明であると判断された有害反応は、骨髄抑制及び食欲不振(それぞれ8/8例、100%)で、
グレード3の有害事象としては、大量化学療法による骨髄抑制以外に、発熱性好中球減少症(7/8例、87.5%)、食欲不振(7/8
例、87.5%)、下痢(5/8例、62.5%)、腹痛(3/8例、37.5%)、低リン酸血症(3/8例、37.5%)、口腔粘膜障害(3/8例、
37.5%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ上昇(1/8例、12.5%)、悪心(1/8例、12.5%)、膵炎(1/8例、12.5%)(参考
文献2)

⑨倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

放射性医薬品としての安全管理が法規に則って適切に行われる限り、倫理的・社会的な問題点は無い。

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