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提案書01(0001頁~0202頁)医療技術評価・再評価提案書 (194 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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③再評価の根
拠・有効性

現在でも食道癌の基本的な治療法は外科手術による切除である。しかしながら病変が進行しているため外科手術が不能、あるいは侵襲が大きく困
難な場合にはしばしば術前補助療法(化学療法、放射線療法、免疫療法やその組み合わせ)が行われる。これにより原発巣を縮小させて根治的手
術、あるいは侵襲の少ない手術にする事が可能だからである。一方、補助療法が無効な場合には、不要な補助療法を早く中止して外科手術を実施
した方が患者の体力を温存し、かつ医療経済的にもメリットが大きい。一般的に術前補助療法の効果判定として用いられる画像診断、すなわち
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 CT、MRI、エコー検査、内視鏡検査などは、いずれも腫瘍の縮小効果を観察する「形態診断」である。一方FDG-PETは腫瘍の糖代謝を画像化する
後等のアウトカム
「機能診断」であり、腫瘍は縮小よりも早く糖代謝の低下することが示されている。すなわちFDG-PETは従来の形態画像診断に比較して早期の治
療効果判定に有用とされている。
本技術の導入によって向上する治癒率、死亡率、QOLの改善等は一概に述べることは困難である。しかしながら、一般的事項として、不要な術
前補助療法を減らして最適な手術機会を提供することにより切除率を高める効果が期待できるものと考える。

ガイドライン等での位置づけ

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

年間対象者数の
変化

年間実施回数の
変化等

患者数を推定する根拠として、国立がん研究センターがん対策情報センターの公表している「がん統計予測」、全がん協加盟施設の生存率共同調
査を用いた。またPET検査数の推定には日本ラジオアイソトープ協会による「第8回全国核医学診療実態調査報告書」、「PET検査件数に関するア
ンケート調査報告第15報」を参照した。
食道がん:年間罹患患者数は約22,300人である。術前補助療法の対象を臨床病期Ⅱ期、Ⅲ期とすると、対象患者は全食道癌患者の約49,6%、す
なわち22,300x0.496=11,060人と推計される。このうち、約80%の患者が術前補助療法の効果判定目的でPETを施行し、さらにその80%が再病期
診断でPETを施行するものと仮定すると、11,060x0.8x0.8=7,078件が増加分となる。
なお、術前補助療法の効果判定に於いてPETを用いる場合には、原則として治療前の病期診断目的にPETが実施されていなければならないため、対
象患者数に変化はない。

見直し前の症例数(人)

11,060

見直し後の症例数(人)

11,060

見直し前の回数(回)

8,848

見直し後の回数(回)

15,926

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

1)「頭頸部がん診療ガイドライン2018」CQ1-7:「推奨グレードB;化学放射線療法後の治
療効果判定にPET-CTは有用である」
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す 2)NCCN Guidelines Version 1.2021:
https://www.nccn.org/professionals/physician_gls/pdf/esophageal_blocks.pdf
る。)
NCCNのガイドラインでは術前補助療法の再病期診断をPET、内視鏡、CTで行う事が推奨され
ており、FDG-PETを施行した場合は造影CTは省略可能としている。

FDG-PET検査は現在悪性腫瘍の画像診断において不可欠の検査法となっており、本邦では2002年の保険適用から毎年増加傾向が続いている。エビ
デンスが蓄積するにつれ保険適用疾患や適用要件が拡大され、2017年には全国で約600台のPETカメラで約72万件の検査が実施された。PET検査は
既に成熟した技術であり、放射性薬剤の合成装置は進歩し、また供給体制も安定している。多くの画像診断法は局所診断法であるのに対しPETは
全身のサーベイが可能であり、治療前・治療後の全身診断として極めて優れた検査法である。

イ 画像診断を担当する常勤の医師(核医学診断について、相当の経験を有し、かつ、核医学診断に係る研修を受けた者に限る。)が配置されて
施設の要件
いること。
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 ロ 当該断層撮影を行うにつき十分な機器及び施設を有していること。
制等)
ハ 当該断層撮影を行うにつき十分な体制が整備されていること。

人的配置の要件
(1)核医学診断の経験を3年以上有し、かつ、所定の研修を修了した常勤医師が1名以上いること。
(医師、看護師等の職種や人数、専門 (2)診断撮影機器ごとに、PET製剤の取扱いに関し、専門の知識及び経験を有する専任の診療放射線技師が1名以上いること。
性や経験年数等)
FDG-PET検査における安全確保に関するガイドライン(厚労省井上班-学会横断) 井上ら、核医学42(2):1-26, 2005, FDG-PET検査における撮
その他
像技術に関するガイドライン(日本核医学技術学会) 庄司ら、核医学技術27(5): 425-456, 2007, がんFDG-PET/CT 撮像法ガイドライン(日本
(遵守すべきガイドライン等その他の 核医学技術学会)福喜多ら、核医学技術29(2): 195-235, 2009, FDG PET、PET/CT診療ガイドライン2018(日本核医学会)細野ら、核医学
要件)
55(1):1-22, 2018

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

18F-FDG PET(PET/CT) 検査は保険診療として日本全国で年間約70万件が施行されているが、薬剤に起因する副作用の報告はなく、極めて安全性の
高い検査である。

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

問題なし

⑧点数等見直し
の場合

見直し前
見直し後
その根拠

8,625
8,625
要望する点数は従来と同じであり、本項は該当しない。

区分
⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)

E

その他(右欄に記載。)

番号

E300、

技術名

E200 コンピューター断層撮影(CT撮影)(一連につき)
1 CT撮影注
注3 CT撮影について造影剤を使用した場合

具体的な内容

画像診断、

G 注射

G100

G100 薬剤

◎FDG-PETを施行する事により造影CTが省略可能であり、造影剤の薬剤費、造影手技料が削減可能である。
◎FDG-PETの施行により早期に術前補助療法の非奏功群を拾い上げることにより、その後の不要な術前化学療法を省略することが可能となる。

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