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提案書01(0001頁~0202頁)医療技術評価・再評価提案書 (27 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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③再評価の根
拠・有効性

依存症集団療法は、平成22~24年度厚生労働科学研究費補助金障害者対策総合研究事業「薬物依存症に対する認知行動療法プログラムの開発と効
果に関する研究」、ならびに平成28~30年度日本医療研究開発機構障害者対策総合研究開発事業「ギャンブル障害の疫学調査、生物学的評価、医
療・福祉・社会的支援のありかたについての研究」においてその有効性が示されている。
依存症患者の多くは他の精神障害を合併する重複障害患者である。わが国の司法機関における研究(参考資料④)からも明らかなように、他の精
神障害が併存する覚醒剤事犯者は再犯リスクが高いことがわかっている。そして、海外の複数のガイドライン(参考資料①・②・③)には、他の
精神障害を併存する依存症患者の場合には、依存症治療と同時に併存障害に対する治療を提供しなければ十分な治療効果が得られないと明記され
ている。実際、重複障害患者の場合には、個別診療においては、単に依存症に関する個人療法をしているだけではなく、併存する他の精神障害に
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 対する心理教育や薬物療法を実施している。その意味では、「依存症集団療法のなかに通院精神療法が含まれる」という説明は成り立たない。
後等のアウトカム
依存症に関する医療的資源を拡充するという点からも、通院在宅精神療法と依存症集団療法との同日算定ができないことの影響は甚大である。と
いうのも、依存症集団療法への参加率を高めるためには、依存症集団療法の実施日と担当医の診察日と同日とする必要があるが、現状では両者を
同一日に算定することができないために、依存症集団療法より点数の高い通院精神療法の算定を優先する傾向にある。厚生労働省がNDBオープン
データとして公表している資料(平成29年)によると、全国の薬物依存症外来患者数は10,746名であるのに対して、依存症集団療法を受けた外来
患者数はわずか142名と、依存症集団療法が実施状況は不十分であり、普及しているとはいえない状況である。点数自体が通院精神療法より下回
るギャンブル依存症およびアルコール依存症の依存症集団療法の場合には、現在のところまだデータがないものの、医師の診察に加えてあえて依
存症集団療法を実施することの経営的メリットはまったくなくなってしまう。これでは、依存症を賃料する医療機関の増加にはつながらない。

ガイドライン等での位置づけ

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

年間対象者数の
変化

年間実施回数の
変化等

依存症集団療法の算定に当たっては、同日に実施した精神科医による通院精神療法の算定のみとするなどの対応を行っている医療機関が多い。
通院精神療法と依存症集団療法の同日算定が可能となれば、同療法を実施する施設数や回数は増加することが予想される。

見直し前の症例数(人)

薬物依存症: 200人、ギャンブル依存症: 80人、アルコール依存症: 200人

見直し後の症例数(人)

薬物依存症: 600人、ギャンブル依存症: 400人、アルコール依存症: 600人

見直し前の回数(回)

薬物依存症: 200回、ギャンブル依存症: 80回、アルコール依存症: 200回

見直し後の回数(回)

薬物依存症: 600回、ギャンブル依存症: 400回、アルコール依存症: 600回

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

「平成22~24年度厚生労働科学研究費補助金障害者対策総合研究事業「薬物依存症に対す
る認知行動療法プログラムの開発と効果に関する研究」、ならびに、依存症集団療法2の根
拠となっている研究班「平成28~30年度日本医療研究開発機構障害者対策総合研究開発事
業「ギャンブル障害の疫学調査、生物学的評価、医療・福祉・社会的支援のありかたにつ
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す
いての研究」は、いずれも明確なガイドラインは作っていないが、米国および英国のガイ
る。)
ドラインによると、他の精神障害の併存する物質依存症患者に対しては、重複する2つの障
害に対して同時に治療を提供しなければならないと明記されている。また、オーストラリ
アのギャンブル依存症治療に関するガイドラインでは、認知行動療法が有効であることが
示されている一方で、医療者による心理的介入が有効であることも示されている。

薬物依存症に対する依存症集団療法については、国立精神・神経医療研究センターでは、2009年より年1回のペースで依存症集団療法の実施者研
修を行っており、現在までに約1,300人が研修を修了している。2016年からは、日本アルコール・アディクション医学会が主催して研修を開始し
ており、学会においても薬物依存症に対する主力的な治療法として位置づけている。また、ギャンブル依存症に対する依存症集団療法は、令和2
年度の診療報酬改定より、アルコール依存症に対する依存症集団療法は令和4年度の診療報酬改定より新設されたが、久里浜医療センターの研修
体制は十分に確立されており、学会においても主力的治療法として重視されている。

施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 精神科を標榜する保険医療機関
制等)
人的配置の要件
精神科医又は精神科医の指示を受けた看護師、 作業療法士、精神保健福祉士若しくは公認心理師で構成される2人以上の者。なお、このうち 1
(医師、看護師等の職種や人数、専門 人以上は、当該療法の実施時間において専従する精神科医、看護師又は作業療法士(いずれも適切な研修を修了した者に限る)であること。
性や経験年数等)
平成22~24年度厚生労働科学研究費補助金障害者対策総合研究事業「薬物依存症に対する認知行動療法プログラムの開発と効果に関する研究」、
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の 平成28~30年度日本医療研究開発機構障害者対策総合研究開発事業「ギャンブル障害の疫学調査、生物学的評価、医療・福祉・社会的支援のあり
かたについての研究」
要件)

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

心理社会的治療であり、副作用のリスクは最小限と考えられる。

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

再犯の防止等の推進に関する法律ならびに、ギャンブル等依存症対策基本法の理念に合致する施策である。

⑧点数等見直し
の場合

見直し前
見直し後
その根拠

依存症集団療法1: 340点、依存症集団療法2・3: 300点
依存症集団療法1: 340点、依存症集団療法2・3: 300点
点数の変更に関する提案ではない。

区分
⑨関連して減点
や削除が可能と
考えられる医療
技術(当該医療
技術を含む)

減点や削除が可能と考えらえる医療技術はない

その他(右欄に記載。)

番号
技術名

特になし
特になし

具体的な内容

特になし
増(+)

プラスマイナス
⑩予想影響額

予想影響額(円)

52,320千円

その根拠

1. 薬物依存症 3400(円)×24(回)×400(年間増加患者人数)=32,640千円
2. ギャンブル依存症 3000(円)×8(回)×320(年間増加患者人数)=7,680千円
3. アルコール依存症 3000(円)×10(回)×400(年間増加患者人数)=12,000千円

備考

特になし

⑪算定要件の見直し等によって、新たに使用される医薬
品、医療機器又は体外診断薬

該当しない

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