よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


提案書01(0001頁~0202頁)医療技術評価・再評価提案書 (52 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

医療技術評価提案書(保険未収載技術用)
整理番号

※事務処理用

提案される医療技術名
申請団体名

204103
小児腹部骨盤部単純X線写真:生殖腺防護に関する説明加算
日本医学放射線学会

主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科

22小児科
20小児外科

関連する診療科(2つまで)
38その他(診療科名を右の空欄に記載する。)

提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した医
療技術の提案実績の有無
過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年
度)
「実績あり」の

提案当時の医療技術名
場合、右欄も記
載する

小児整形外科

リストから選択

追加のエビデンスの有無

有無をリストから選択

提案される医療技術の概要
(200字以内)

小児の腹部骨盤部や股関節を含む単純X線撮影では、被ばくを低減するために生殖腺の防護が推奨されていた。しかし、近
年の被ばく低減技術と生殖腺防護の組み合わせにより、かえって被ばくが増加する場合が報告され、米国放射線防護審議会
は生殖腺遮蔽の廃止を勧告している。放射線診断専門医が作成した文書を用いて担当医(あるいはX線撮影に関わる医療従
事者)が説明し、適切な被ばく管理を行う。

文字数: 185
対象疾患名

保険収載が必要な理由
(300字以内)

文字数: 295

19歳以下の腹部・骨盤部や股関節の単純X線撮影

2021年に米国放射線防護審議会は小児の腹部・骨盤部単純X線撮影時の生殖腺遮蔽の廃止を勧告している。しかしながら、
小児の腹部骨盤部や股関節を含むX線撮影では長年、生殖腺の防護が推奨されていたため、各施設において単純X線写真を依
頼する医師、放射線科医、診療放射線技師を含めた施設全体のコンセンサスを確立し、患児や保護者の理解を得るのは容易
ではない。そこで、小児の腹部・骨盤部や股関節のX線撮影時に放射線診断専門医が作成した文書を用いて担当医(あるい
はX線撮影に関わる医療従事者)が説明し、かつ放射線診断専門医が当該X線写真の結果を文書により報告した場合、画像管
理加算2に準じた加算を要望する。

【評価項目】
①提案される医療技術の対象
・疾患、病態、症状、年齢等

19歳以下の腹部・骨盤部や股関節の単純X線撮影

②提案される医療技術の内容
・方法、実施頻度、期間等
(具体的に記載する)

小児の腹部・骨盤部や股関節のX線撮影では生殖腺の防護が遺伝的影響の可能性を最小限にするために1950年代から推奨
され、国内にも導入された。その後、放射線防護の研究が進み、原爆被爆者の第一世代と第二世代の間で統計学的な有意な
遺伝的影響が認められない事(文献1)、一方で発がんの危険性がより大きい事が明確になるにつれ、「遺伝からがんへ」
のパラダイムシフトがおき、国際放射線防護委員会(International Commission on Radiological Protection:ICRP)の生殖
腺の組織荷重は1977年の0.25 (ICRP Publication 26)から2007年の0.08(ICRP Publication 103)まで見直されている。
さらに撮影技術の進歩に伴い腹部単純X線写真の線量は約100年で約1/400まで低下している(文献2)。
さらに別の検討では小児では体動を抑制するのは難しく、かつ精巣や卵巣も様々な部位に位置する事が知られており、遮
蔽具が生殖腺全体を覆えていたのは全体の34%に過ぎなかったとする報告もある(文献3)。また、撮影技術の進歩の一つ
である自動露出制御装置(AEC(automatic exposure cotrol)は、生殖腺防護を行うと使用が妨げられ、結果として生殖腺防
護が行われていない部位への被ばく線量は通常より増加する(文献4)。これらの報告を受けて、2021年に米国放射線防護
審議会は腹部・骨盤部単純X線撮影時の生殖腺遮蔽の廃止にむけた勧告(文献5)を行い、国内でも保健物理学会や日本放
射線技術学会を中心として、シンポジウムなどを通じ、啓蒙活動を行っている。
放射線防護は、個別のケースに応じて、患児や保護者との間でのコミュニケーションを行うのが原則である。しかしなが
ら、放射線防護の専門家は少なく、十分な説明が行えないために、やむをえず、生殖腺防護が継続されている場合もある。
これに対して、小児の腹部・骨盤部や股関節のX線撮影時に放射線診断専門医が作成した文書を用いて担当医(あるいはX線
撮影に関わる医療従事者)が説明し、かつ当該X線写真の結果を文書により報告した場合、月1回に限り画像診断管理加算
2に準じて加算を要望する。

区分
③対象疾患に対
して現在行われ
ている医療技術
(当該医療技術
が検査等であっ
て、複数ある場
合は全て列挙す
ること)



番号

通則4

医療技術名

画像診断管理加算1

既存の治療法・検査法等の内容

区分番号E001、E004、E102及びE203に掲げる画像診断については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に
適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において画像診断を専ら担当する常勤の医師が、画像診断
を行い、その結果を文書により報告した場合は、画像診断管理加算1として、区分番号E001又はE004に掲げる画像
診断 、区分番号E102に掲げる画像診断及び区分番号E203に掲げる画像診断のそれぞれにつ いて月1回に限り70点
を所定点数に加算する。

④有効性・効率性
・新規性、効果等について③との比較
・長期予後等のアウトカム

米国放射線防護審議会の勧告にも関わらず、生殖腺防護が継続されている場合には、本来被ばくをより低減できる機能であ
る自動露出制御装置が使用できず、防護した部位以外の被ばくが増加する危険性がある。既に小児の単純X線写真の被ばく
量は十分に少ないため、放射線被ばくによる発がんなど長期予後の推定は困難である。

52