提案書02(0203頁~0398頁)医療技術評価・再評価提案書 (154 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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整理番号
※事務処理用
提案される医療技術名
申請団体名
230101
びまん性肺疾患集学的合議評価提供料
一般社団法人日本呼吸器学会
02呼吸器内科
主たる診療科(1つ)
提案される医療
技術が関係する
診療科
28放射線科
関連する診療科(2つまで)
34病理診断科
提案される医療技術又は提案される医療技術に類似した医
療技術の提案実績の有無
無
過去に提案した年度
(複数回提案した場合は、直近の年度)
「実績あり」の
場合、右欄も記
該当無し
提案当時の医療技術名
載する
リストから選択
追加のエビデンスの有無
有無をリストから選択
提案される医療技術の概要
(200字以内)
本技術は、肺線維症を伴うその他の間質性肺疾患が疑われる患者について、詳細な問診や身体所見、血液検査、高分解能CT撮
影及び外科的生検法等の結果を基に診断を行うための多職種(びまん性肺疾患に関する専門的な知識及び技能を有する呼吸器
内科医、同放射線科医、同病理医等)による集学的な検討会での合議(MDD)を経た上で、当該診断結果等について文書を用
いて患者に説明した場合に患者1人につき2回に限り算定する。
文字数: 199
対象疾患名
保険収載が必要な理由
(300字以内)
文字数: 297
肺線維症を伴うその他の間質性肺疾患(ICD-10コード J84.1。指定難病の特発性肺線維症を含む。)が疑われる患者。これら
のうち、自覚症状、他覚的検査から推測される病状発症からの経過が3ヶ月以上の患者を対象とする。
本対象疾患は原因や治療法が異なる疾患群からなり、鑑別診断の難しさや誤診に伴う不利益リスクの大きさで知られる。それ
ゆえ国際的なガイドラインでは過去20年以上に亘り呼吸器内科医、放射線科医、病理医等による多職種での合議による診断
(MDD)を推奨してきた。通常の診断に比べMDDはより一貫した診断を下し、予後をより正確に予測する(=誤診を減らせ
る)。本邦でも呼吸器専門研修プログラム基幹施設の37.7%でMDDが実施され、有志によるMDDも年間約1,400件に上る。通常
の診断に比べMDDでは手間がかかるため、保険収載によりMDDの普及を促し、技術の均てん化によって患者の厚生向上に資する
べきである。
【評価項目】
①提案される医療技術の対象
・疾患、病態、症状、年齢等
肺線維症を伴うその他の間質性肺疾患(ICD-10コード J84.1。指定難病の特発性肺線維症(以下、IPF)を含む。)が疑われ
る患者。これらのうち、自覚症状、他覚的検査から推測される病状発症からの経過が3ヶ月以上の患者を対象とする。
②提案される医療技術の内容
・方法、実施頻度、期間等
(具体的に記載する)
ガイドライン等における診断フローではMDDを2段階に分けて実施することを推奨しており、当該診断フローに沿ったMDDの実
施を原則とする。
1段階目は胸部の高分解能CT撮影を実施した後に、呼吸器内科医と放射線画像診断医での合議が想定されている。この段階で
診断が付く場合もあり得る(その場合は2段階目に進まない)。診断が難しい場合においては、外科的肺生検等を含むより侵
襲度の高い検査手法について、益と害のバランス、患者の価値観を考慮し、各手法の適応を決定し、行う場合はどの部位から
検体を採取するのが最適かを決定していく。
2段階目では追加的な検査結果(病理検査含む)を踏まえて、上記2職種に病理診断医を加えて集学的に検討し、合議で診断を
行う。
上記MDDで得られた診断について、文書を用いて当該患者に説明を行う。診断がつかなかった場合も検査等の方針について、
文書を用いて当該患者に説明を行う。その他、施設基準の詳細は後述する。
区分
③対象疾患に対
して現在行われ
ている医療技術
(当該医療技術
が検査等であっ
て、複数ある場
合は全て列挙す
ること)
B
番号
該当無し
医療技術名
該当無し
既存の治療法・検査法等の内容
MDDと比較対象となる既存の技術はMDDを用いない通常の診断である。当該既存技術は一般に初・再診料や入院料等に溶け込ん
でいるものと解されるが、MDDはエキスパートからなるパネルによる評価という点でB011-5がんゲノムプロファイリング評価
提供料と(領域は違えど)趣旨を同じくすることから、B医学管理等での申請としている。B医学管理料において、本提案の既
存技術にあたる項目は存在しない。
なお、MDD及びMDDを用いない通常の診断ともに、診断にあたって次に掲げるような検査等が実施される:画像診断(E200コン
ピューター断層撮影、E203コンピューター断層診断、E001写真診断、E002撮影等)、検体検査(D007(28) KL-6、同(35) SPA、同(37) SP-D等))、生体検査(D200スパイログラフィー等検査、D302-2気管支カテーテル気管支肺胞洗浄法検査、D415経
気管肺生検法、D415-5 経気管支凍結生検法、K488-4胸腔鏡下試験切除術、K511-1肺切除術楔状部分切除)。
④有効性・効率性
・新規性、効果等について③との比較
・長期予後等のアウトカム
信頼性と妥当性等に関するエビデンスを中心に記載する。MDDによる診断は利用できる検査結果等をすべて活用するため、有
効性の評価にあたり感度や特異度の概念が適用されない点に留意されたい。出典の巻号は⑭にまとめて記載した。
【信頼性】(評価者間信頼性)呼吸器内科医・放射線科医・病理医各1名以上からなる7つのMDDのチームに対して、びまん性
肺疾患が疑われる70人分の症例データセットを評価させた研究では、MDD間の評価者間信頼性は特にIPF及び膠原病に伴う間質
性肺疾患(CTD-ILD)において良好であった(重み付きκ係数それぞれ0.71, 0.73)[出典1]。IPF疑いの患者を対象とした同
様の研究でも、医師1人による診断に比べて複数医師で専門的な見地から情報を多面的に解析することで評価者間信頼性が改
善すること、更に解析結果を統合して合議により診断を行うことで一貫性が一層高まることが示されている[2]。また、信頼
性の担保に向けたMDDの体制や運用の標準化に資する議論も国際的に進んでいる[14]。
【妥当性】(内容的妥当性)多職種によるダイナミックな意見交換を経た上での合議による診断の重要性は2002年の米国胸部
学会(ATS)/ヨーロッパ呼吸器学会(ERS)のガイドライン[3]を皮切りに、数多くのガイドラインで推奨されている。びまん性
肺疾患では英国/豪州・NZ/アイルランド胸部学会共同によるもの[4]、IPFでは英・仏それぞれの医療技術評価機関[5,6]、
フライシュナー協会[8]、ATS/ERS/日本呼吸器学会(JRS)/ラテンアメリカ胸部学会(ALAT)共同によるもの[7,21]、過敏性肺炎
(HP)ではCHEST誌[10]、ATS/ERS/JRS/ALAT共同によるもの[9]、CTD-ILDでは豪州・NZ胸部学会[11]、進行性線維化を伴う間
質性肺疾患ではカナダ胸部学会[12]、進行性肺線維症では領域のエキスパート[13]のガイドラインがそれぞれ存在し、いずれ
もMDDを推奨している。
(基準関連妥当性)MDDによる診断は、通常の診断や単職種のみ(呼吸器内科医のみ又は放射線科医のみ)による診断に比べ
て、患者の予後の予測に優れていることが分かっている[1,15,16]。びまん性肺疾患において、診断の精度向上は誤診の低下
や患者に最適な治療法の選択に直結するため、MDDが与える効果は極めて高いと言える。
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