提案書02(0203頁~0398頁)医療技術評価・再評価提案書 (63 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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プレーンテキスト
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提案番号(6桁)
申請技術名
申請学会名
221102
糖鎖欠損トランスフェリン(CDT)トランスフェリン比(%CDT)
日本肝臓学会
【社会背景と保険収載が必要な理由】
・ 2013年、「アルコール健康障害対策基本法」が成立し、アルコール健康関連障害対策推進基本計画が策定され、行政による取り組み・環境整備など新たな局面を迎えている。
・ コロナ禍で自宅での飲酒量が増えているとの指摘がある。
・ 本技術の導入により高い特異性をもって飲酒量を反映することで、アルコール性肝障害を鑑別することにより、治療方針の決定や患者の行動変容にも貢献し得る。
【技術の概要】
【既存の治療法との比較】
• 血清中の糖鎖欠損トランスフェリン(carbohydrate deficient
AST, ALT, AST/ALT比, γ-GTP, IgA, MCV(平均赤血球容積)が飲酒と関連するが、
transferrin:CDT)の測定には、試薬キット・N-ラテックスCDTを用いる。 種々の肝疾患、血液疾患においても異常値がみられ、感度・特異度ともに乏しい。
(体外診断用医薬品としてすでに薬機法承認済)製造販売承認番号: 22800EZX00040000
【糖鎖欠損トランスフェリン(CDT)トランスフェリン比(%CDT)測定の意義】
• 測定原理はラテックス凝集免疫ネフェロメトリーであり、本試薬と血漿蛋白
検査システムを用いることにより、全自動、18分間でCDT/トランスフェリン • アルコール性肝障害と診断するには正確な飲酒量の把握が鍵となる。
• 60gを超える飲酒を2週間継続するとCDTが増加し、半減期は15日であることから直近の飲
比(%CDT)の測定が可能。
CDT
酒を把握できる。
【糖鎖欠損トランスフェリン(CDT)とは】
• %CDTは、診断感度、特異度ともにɤ-GTPより優れている。
ジシアロトラスフェリン
• %CDTが2%以上を示す肝障害であれば、アルコール性肝障害の診断はより確実になる(ア
テトラシアロトラスフェリン
ルコール性肝障害診断基準・アルコール医学生物学研究会2011年版、2021年改訂) 。
(全トランスフェリンの64-80%)
• アルコール依存症の再発予防で推奨される薬物療法が確立し、飲酒量低減によって飲酒に
慢性飲酒によるゴルジ体障害
シアル酸転移酵素ST6Gal1活性低下
よる害を減らすこと(ハームリダクション)の重要性が示されている(新アルコール・薬物使用
モノシアロトラスフェリン
障害の診断治療ガイドライン2018)。
• %CDT測定は飲酒量低減効果のモニタリングや判定に使用できる。
習慣的大量飲酒によりCDTは増加する
シアル酸
糖鎖
ポリペプチド鎖
【医療経済や社会経済に及ぼす影響】
アシアロトラスフェリン
【対象疾患】
• 肝障害患者におけるアルコール性肝障害鑑別補助診断
• 飲酒によりɤ-GTPが上昇しない患者(推定13万人)、非アルコール性と鑑別が困難な患者、
断酒や節酒の治療経過観察中の患者等において、特に有用性が期待できる。
【有効性及び診療報酬上の取扱い】
194点
Mac2結合蛋白糖鎖修飾異性体、マロンジアルデヒド修飾LDL、オートタキシンの実施料・判断量を参考。
なお、英国NHS、ドイツ等複数の医療先進国において保険収載されている。
【医療費に及ぼす影響】
アルコール性肝障害が疑われる患者に対して、%CDTを測定
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非アルコール性との鑑別
飲酒量の推定(問診の補完)
断酒や節酒介入後のモニタリング
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治療方針の決定
重症化の抑止
患者の行動変容
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医療費の削減
労働の損失や自動車事故などの社会的損失の低減
アルコール関連疾患による医療費は1兆101億円であるが、早期発見し、重篤になる前に治療することで、削減可能な医療費となりうる。
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本技術の保険収載に伴い、約2億円の増額が予測されるのに対して、10.1億円~23.3億円の医療費の減額が見込まれると試算される。