提案書02(0203頁~0398頁)医療技術評価・再評価提案書 (161 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html |
出典情報 | 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》 |
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吸ケアを組み合わせた介入を実施した群では、通常治療を行ったコントロール群と比較し、呼吸困難に関するQOLが有意に維持・改善(6週間後時
点のCRQスコアは介入群が有意に良好で+0.58ポイントの差、p値 0.048)、非がんの患者84人について、緩和ケアおよび呼吸ケアを組み合わせた
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 介入を実施した群と通常治療群で生存率の有意な差があった(6か月後時点の生存率 100% vs 76%、生存率全体のp値 0.01)。
肺がん患者とCOPD患者の終末期の緩和ケア受療状況を比較したButler SJ et al., 2020(文献4)によるシステマティックレビューにおいて、肺
後等のアウトカム
がん患者が在宅で緩和ケアを受けるオッズ比はCOPD患者に対して8.79[95%信頼区間 6.76-11.43、p値<0.001] と有意に高く、在宅死亡のオッズ比
も1.47 [同 1.14-1.89]、p値 0.003]と高かった。このことから、適切に緩和ケアを受けることにより、患者が希望すれば入院せずに在宅で最期
を迎えられる可能性が高くなると考えられる。
・「非がん性呼吸器疾患緩和ケア指針2021」(日本呼吸器学会・日本呼吸ケア・リハビリ
テーション学会)において酸素療法、NPPV、ハイフローセラピーなどの呼吸管理、薬物療
法、呼吸器リハビリテーションや心理療法などの非薬物療法についての根拠、有効性、実
施法などが示されている。また、同指針では在宅における緩和ケアのほか地域連携やACPな
どの分野の手法も指南し、疾患別の緩和ケアについては実例を交えて解説している。
・日本呼吸器学会(COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン2022[第6
版])においては安定期の管理項目として、「終末期COPDへの対応」が記載され、終末期の
トータルペインに対する多職種連携チーム医療の重要性、呼吸リハビリテーションと緩和
ケアの目的が同一線上にあること、終末期呼吸困難に対してさまざまな薬物療法や非薬物
療法でも改善されない場合のオピオイド使用について触れられている。
・日本呼吸器学会特発性肺線維症(IPF)の治療ガイドライン2023(Minds準拠)では、
「呼吸困難を伴うIPF患者の症状緩和にオピオイドを用いるか?」というCQに対して、エキ
スパートコンセンサスに基づいたアドバイスとして、適応・効果判定・副作用対策に十分
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す に留意した上での使用を助言する。となっている。
る。)
・米国胸部学会ガイドライン(An Official American Thoracic Society Clinical Policy
Statement:Palliative Care for Patients with Respiratory Diseases and Critical
illnesses)、GOLD 2020、英国NICEのCOPDガイドライン(Chronic obstructive pulmonary
disease in over 16s: diagnosis and management)においても、呼吸器疾患の患者に対す
る緩和ケアの標準的な診療基準が確立されている。
・AMED長寿・障害総合研究事業 長寿科学研究開発事業「呼吸不全に対する在宅緩和医療
の指針に関する研究」による「在宅診療における非がん性呼吸器疾患・呼吸器症状の緩和
ケア指針」(2022年3月)(文献2)においては、在宅診療の現場で非がん性呼吸器疾患の呼
吸器症状緩和が図られるよう、具体的な手段と実際が述べられている。
・AMED長寿・障害総合研究事業 長寿科学研究開発事業「呼吸不全に対する在宅緩和医療
の指針に関する研究」による「アドバンス・ケア・プランニング支援ガイド:在宅療養の
場で呼吸不全を有する患者さんに対応するために」においては、様々な状況の在宅呼吸不
全患者に対するACPの進め方を具体的かつ詳細にケーススタディを提示して述べられてい
る。
③再評価の根
拠・有効性
ガイドライン等での位置づけ
【年間実施回数】
下記の【年間対象者数】と【対象者1人当たり実施回数】を掛けた値:5,239回(782人 × 6.7回)を年間実施回数と推定する。
【年間対象者数】
年間患者数5,549人のうち、14.1%の782人が外来緩和ケア診療料を算定すると仮定。
④普及性の変化
※下記のように推定した根拠
【年間患者数】
下記のイ)にロ)を乗じた人数:5,459人(86,646人 × 6.3%)を年間対象者数とする。
イ)緩和ケアを必要とする患者数:人口動態統計より、2021年のCOPD、間質性肺疾患、誤嚥性肺炎を死因とする死亡者数は、16,384人、20,774
人、49,488人で計86,646人。
ロ)実際に緩和ケアを受ける患者の割合:WHO(2014)によると、がん患者の約84%(COPD患者は約67%)で緩和ケアが必要とされているものの、日
本緩和医療学会の調査によると2020年度における、がん患者の緩和ケアサービスの利用実績(割合)は6.3%である。本推計では、呼吸器疾患の死
亡者のうち、実際に緩和ケアサービスを受ける患者数をまずは現状ベースで見積もることとし、緩和ケアを受ける患者の割合を6.3%と仮定。
【在宅緩和ケア利用率】
下記、ハ)とニ)の合計に占めるニ)の割合)を在宅緩和ケア利用率とした。
ハ)入院の緩和ケア診療加算の算定件数:社会医療診療行為別統計(2021年6月審査分)より2,483件。
ニ)外来緩和ケア管理料(1月につき)の算定件数:社会医療診療行為別統計(2021年6月審査分)より408件。
であることから、在宅での緩和ケア利用率を 408÷(2,483 + 408) = 14.1% と仮定。
【対象者1人当たり実施回数】
下記のホ)をヘ)で除した値(レセプト1件あたりの算定回数):6.7回(16,678回 ÷ 2,483件)を対象者1人当たり実施回数とする。
ホ)緩和ケア診療加算の総算定回数:社会医療診療行為別統計(2021年6月審査分)より、緩和ケア診療加算の算定回数は16,678回。
ヘ)緩和ケア診療加算の総算定件数:同統計より、緩和ケア診療加算の算定件数は2,483件。
年間対象者数の
変化
見直し前の症例数(人)
0
見直し後の症例数(人)
782
年間実施回数の
変化等
見直し前の回数(回)
0
見直し後の回数(回)
5,239
⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)
・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)
・学会等における位置づけ:③に記載した通り、根拠、有効性、実施法などが「非がん性呼吸器疾患緩和ケア指針 2021」(文献1) 「在宅診療に
おける非がん性呼吸器疾患・呼吸器症状の緩和ケア指針」(文献2) 「アドバンス・ケア・プランニング支援ガイド:在宅療養の場で呼吸不全を
有する患者さんに対応するために」に詳細に示されている。
・難易度:酸素療法やNPPVなどの呼吸管理に習熟した呼吸器科医が緩和ケア医と共同もしくは緩和ケア研修を受けた上で多職種の緩和ケアチーム
を結成することで、末期呼吸不全患者の心身両面の基本的緩和ケアの評価と介入が可能。
施設の要件
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 現状の施設要件に準ずる。
制等)
人的配置の要件
看護師、薬剤師、医師の配置要件は現状の施設基準に準ずる。また、呼吸ケアの経験ある理学療法士、管理栄養士、できれば臨床心理士などとも
(医師、看護師等の職種や人数、専門 共同して療養上必要な指導を行う。
性や経験年数等)
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の 非がん呼吸器疾患個々のガイドライン並びに「非がん呼吸器疾患緩和ケア指針」を遵守する。
要件)
⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度
呼吸器科医と緩和ケア医並びに薬剤師などとの共同があれば、呼吸困難の緩和に伴う呼吸抑制などの副作用やリスクについて安全に配慮した対応
ができる。
⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)
特に問題はなし。
適応の拡大が認められれば、がん患者以上に呼吸困難等苦痛の強い末期非がん呼吸器疾患患者に対して、オピオイドなどの薬物およびその他非薬
物療法による症状緩和、精神的安定、リハビリテーションによるADL及び自己尊厳の維持などが期待でき、円滑で有意義なACPを実施できる。
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