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提案書02(0203頁~0398頁)医療技術評価・再評価提案書 (171 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190899_00011.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織・医療技術評価分科会(令和5年度第1回 11/20)《厚生労働省》
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・対象とする患者:
厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等 に届け出た保険医療機関において、C107-2 在宅持続陽圧呼吸療法指導
管理料2を算定し、CPAPを実施している入院中の患者以外の患者(算定要件(6)ア)。

②現在の診療報酬上の取扱い
・対象とする患者
・医療技術の内容
・点数や算定の留意事項

・技術内容:
前回受診月の翌月から今回受診月の前月までの期間、使用時間等の着用状況、無呼吸低呼吸指数等がモニタリング可能な情報通信機器を活用し
て、定期的なモニタリングを行った上で適切な指導・管理を行い、状況に応じ、療養上必要な指導を行った場合に、2月を限度として来院時に算
定することができる。
・点数や算定の留意事項:
遠隔モニタリング加算として、150点 に当該期間の月数(当該指導を行った月に限り、2月を限度とする。)を乗じて得た点数を、所定点数に加
算する(注2)。患者の同意を得た上で、対面による診療とモニタリングを組み合わせた診療計画を作成する。当該計画の中には、患者の急変時
における対応等も記載し、当該計画に沿ってモニタリングを行った上で、状況に応じて適宜患者に来院を促す等の対応を行う(算定要件(6)
イ)。当該加算を算定する月にあっては、モニタリングにより得られた臨床所見等を診療録に記載しており、また、必要な指導を行った際には、
当該指導内容を診療録に記載しているこ。厚生労働省の定める情報通信機器を用いた診療にかかる指針に沿ってモニタリングを行う。



診療報酬区分(再掲)
診療報酬番号(再掲)

107-2

医療技術名

在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2の注2および(6)の修正
本邦の睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020(呼吸器学会、厚労難病班監修、Minds認定)、英国のNICEガイドライン(2021年)(文献
1,2)でCPAP遠隔モニタリングの有用性が記されている。SAS患者に対する1日4時間以上のCPAP治療は予後、心血管障害のリスクが軽減することが
示されており(文献1, P76, CQ29)、ASV実施患者においてもアドヒアランスの維持(少なくとも1日当たり1時間以上使用)により心機能や予後の
改善に効果があることが報告されていることから((Koyama T, et al. Cir J. 2012;76:2606-13))、在宅におけるアドヒアランスの維持が重要
治癒率、死亡率やQOLの改善等の長期予 である。ASVの一部は、CPAPと同様のC107-2の算定対象であり3か月間隔の対面診療が認められている。最近の本邦からの報告であるが、CPAP遠隔
後等のアウトカム
モニタリングの6か月間(この間3か月受診)はCPAPアドヒアランスを上昇させていた(文献4)。遠隔モニタリングによってアドヒアランスの維
持ができる可能性が高い。英国のNICEのガイドラインでは安定すれば、年1回の受診でよいと記されている。また、本邦の資料である文献3から遠
隔モニタリング3カ月間隔受診は患者の利便性を明らかに増しているので、その普及は患者のQOL改善に寄与する事も大きい。また、今回のCOVID19のようにパンデミックなった時に、患者の在宅率を上げ、感染防止も役立つ。

③再評価の根
拠・有効性

ガイドライン等での位置づけ

④普及性の変化
※下記のように推定した根拠

文献1のMinds認証本邦ガイドライン, CQ36において、新技術のためエビデンスレベルCであ
るが、クリニカルクエッション「遠隔モニタリング指導はCPAPアドヒアランスを改善しま
すか?」に対して、「1)遠隔モニタリング指導によりCPAPアドヒアランスの改善が期待で
きる」「2) 遠隔モニタリング指導は医療者側の負担軽減や患者側の利便性向上も期待でき
ガイドライン等での記載あり(右欄に詳細を記載す る」となっている。文献2.NICEガイドライン:Once CPAP is optimised, consider annual
る。)
follow-up for people with OSAHS(p19).• telemonitoring data or download
information from the device (if available)(p20). と記されている。さらに、日本医学
会連合の「日本医学会連合 オンライン診療による継続診療可能な疾患/病態」
(https://www.jmsf. or.jp/news/page_333.html)にも睡眠時無呼吸症候群が加えられてい
る。

【症例数】令和3年度社会医療診療行為別統計のC165 在宅持続陽圧呼吸療法用治療器加算の実施件数(53.3万回)および実施回数(68.3万回)
より、その差約15万件が2か月または3か月受診となる。
遠隔モニタリングの件数30,573回、実施回数31,311回なので、その差738人(2.4%)は3か月受診となる。従って、68.3万人-53.3万人=15万人にも
同様の比率を当てはめると、14.3万人が2か月、0.6万人が3か月受診になる。従って、CPAP患者総数は約68.7万人(毎月38.3万人+2か月毎28.6万
人+3か月毎1.8万人)となる。ASVについては1万人未満なので、数字に大きな影響を与えないので、省略する。
申請者らの本邦の文献4より患者満足度は3か月受診の方が4倍ほど高いので、改訂により毎月受診の80%が3か月の遠隔モニタリング加算に移行す
ると仮定する。
【現状の患者数】
CPAP: 毎月受診=38.3万人、2か月に1回=28.6万人、3か月に1回=1.8万人
(6.5万人 x 6回 + 2.6万人 x 8回 = 59.8万回)
【普及後の患者数】
現在毎月受診の8割がCPAPの3か月受診になる: 毎月受診=7.7万人、3か月に1回=61万人 (61万人 x 8回= 488万回)

年間対象者数の
変化

見直し前の症例数(人)

CPAP患者毎月受診38.3万人+2か月に1回28.6万人+3か月に1回1.8万人=68.7万人このうち3万人が遠隔加算(ほぼ全員2か月受診)

見直し後の症例数(人)

CPAP患者毎月受診7.7万人, 遠隔後は平均3か月で受診すると仮定した。遠隔61万人

見直し前の回数(回)

3万x6回=18万回

見直し後の回数(回)

61万x8=488万回

年間実施回数の
変化等

⑤医療技術の成熟度
・学会等における位置づけ
・難易度(専門性等)

・施設基準
(技術の専門性
等を踏まえ、必
要と考えられる
要件を、項目毎
に記載するこ
と)

・平成30年度よりCPAP遠隔モニタリング加算は行われており、関連4学会(日本呼吸器学会、日本睡眠学会、日本呼吸ケアーリハビリテーション
学会、呼吸療法医学会)および循環器科の施設においても、トラブルなく施行されている。
・施設内に資料を直接取り出すためのPC等が無い場合も、機器プロバイダーより遠隔モニタリング資料を取り寄せ、遠隔モニタリングによる指
導・管理を行うことは可能である。従って、CPAPの機器を管理している全ての施設において、遠隔モニタリング可能な機器を使用していれば遠隔
モニタリングの加算は可能である。
・Minds認証睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020(文献1)にも遠隔医療がとりあげられ、普及が待たれている。
・日本医学会連合の「日本医学会連合 オンライン診療による継続診療可能な疾患/病態」(https://www.jmsf. or.jp/news/page_333.html)にも
睡眠時無呼吸症候群が加えられている。

施設の要件
患者の日常的な通院・訪問によって対面による診察が可能な体制を有していること。
(標榜科、手術件数、検査や手術の体 CPAP実施患者の臨床所見についてモニタリング可能な情報通信機器を搭載したCPAPもしくはASVの機器を使用していること。
制等)
人的配置の要件
(医師、看護師等の職種や人数、専門 CPAPもしくはASVの管理を行っている医師がいること。
性や経験年数等)
その他
(遵守すべきガイドライン等その他の 厚生労働省の定める情報通信機器を用いた診療に係る指針(オンライン診療の適切な実施に関する指針)
要件)

⑥安全性
・副作用等のリスクの内容と頻度

再評価の提案に伴う安全性への影響はないが、患者の個人情報および臨床所見等のデータをネットワーク上で送受信するため、これらの情報が
ネットワーク所またはネットワークに接続可能な端末上に存在する限り、個人情報漏えいのリスクが伴う。個人情報漏えいのリスクを最小限にと
どめる方策を現状通りに進める必要がある。
日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」(記録期間:2010年1月~2018年6月、参加登録医療機関数:2018年12月31日時点で1502施設)
において、遠隔モニタリングまたはオンライ診療に関する個人情報漏えいもしくはその他の有害事象に関する報告は確認されなかった(検索語
句:「遠隔」または「オンライン」)

⑦倫理性・社会的妥当性
(問題点があれば必ず記載)

患者の個人情報保護においては、オンライン診療の適切な実施に関する指針に掲載された関連法令およびガイドラインを順守する必要がある。

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