令和7年度予算の編成等に関する建議 (114 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20241129/index.html |
出典情報 | 令和7年度予算の編成等に関する建議(11/29)《財務省》 |
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〔資料Ⅱ-5-31 参照〕
そのことを裏付けるかのように、Top10%論文数の内訳をほかの主要国
と比べてみると、国際共著論文数の少なさが際立っている。また、研究者
の国際的な移動も、中国に後塵を拝する低水準である。
さらに、我が国は、過去にアメリカとイギリスが取り組んでいた研究ト
ピックに後追い的に取り組む傾向がある。最先端の研究から遅れを取っ
ている状況のままで科学技術への大規模で長期的な投資を行っても、日
本が新しい研究トピックやトレンドを開拓するリーダー的な地位を確保
することにつながらないのではないか。
例えば、国際的に注目を集める研究領域、すなわち分野別の Top1%論
文が輩出されている研究領域について、我が国の研究者が参画している
割合は 31%であり、イギリス(57%)やドイツ(49%)と比べ低く、中
国(66%)の半分程度である。また、AI や燃料電池といった学際的・分
野融合的領域への参画数(84 領域)も、イギリス(138 領域)やドイツ
(118 領域)と比べ低く、中国(180 領域)の半分程度にとどまっている。
〔資料Ⅱ-5-32 参照〕
こうした現状を踏まえると、我が国の研究開発の生産性を向上させて
いくためには、単に量的な拡大をするのではなく、研究開発の国際化の取
組を促す政策誘導を強化すべきである。
④
研究費の硬直性
我が国の大学の硬直性・閉鎖性が指摘されて久しい。これは、明治政府
がドイツに倣って採用した「講座制」の中で、教授を頂点とするヒエラル
キーが形成され、若手の研究者の活躍の場が少なくなり、また、教授と異
なる研究に挑戦できず独創性が損なわれてしまう、という過去の遺物の
影響との指摘がある。
競争的資金の代表格である科研費の新規採択課題に係る分野別配分額
の割合がほぼ一定で推移していることからも、独創的な研究が現れてお
らず、大胆な分野のシフトが起こっていない状況が示唆されており、長期
的な視点に立って、基礎研究の特性にも配慮しつつ、更なる改革を進める
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