外的な支援がなされてきている背景には、半導体が非常に広範な産業に
影響を及ぼす製品であり、経済の持続的な成長の実現と経済安全保障の
確保の両方にとって重要であり、かつ、この業界を取り巻く環境も大きく
変化していることが挙げられる。必要な投資を政府の支援によって後押
しすることで、我が国半導体産業を国際的なサプライチェーンの中に位
置づける重要性が高まっている。
過去、我が国の半導体産業は高いプレゼンスを発揮してきた。しかしな
がら、世界の半導体市場が拡大する中で、1990 年代以降、その地位を低
下させる状況に甘んじている。一方で、半導体は、その用途や種類が多岐
にわたり、IT 企業・製造業だけでなく、サービス業、農業なども含め、
全ての産業で DX・デジタル化が進む中で、より一層、社会に必要不可欠
なものとなっている。こうした中で半導体の供給が不足すれば、国民生活
やビジネスに大きな影響をもたらす。また、世界各国・地域においても、
経済安全保障等の観点から、半導体等への産業支援が実施されている。
〔資料Ⅱ－８－２、３参照〕
加えて、デジタル技術の進化により、世界における電力需要の増加が見
込まれ、この増大する電力需要への対策が喫緊の課題となってきている。
我が国においても、データセンターの新増設等により、全体として電力需
要が増加傾向になると予想されており、こうした中で、半導体の微細化等
による機能向上により、エネルギー効率を改善することが重要となって
いる。〔資料Ⅱ－８－４参照〕
②

「ＡＩ・半導体産業基盤強化フレーム」の策定

「2030 年に、国内で半導
「半導体・デジタル産業戦略」157においては、
体を生産する企業の合計売上高（半導体関連）として、15 兆円超を実現
し、我が国の半導体の安定的な供給を確保」を目指すこととしている。し
かしながら、これまで令和３年度補正予算から令和５年度第１次補正予
算までに実施してきた累計 3.9 兆円の支援については、毎年度の補正予
算を編成する過程で、支援の必要性や支援額を都度の議論で決定してき
157

2023 年（令和５年）６月経済産業省改定

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