令和7年度予算の編成等に関する建議 (14 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20241129/index.html |
出典情報 | 令和7年度予算の編成等に関する建議(11/29)《財務省》 |
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確保されるような政策形成をしつつ、民間部門・政府部門ともに、資金調
達コストの上昇を上回るよう投資効率・費用対効果を向上させることが
一層必要となる。
我が国を取り巻く環境を踏まえれば、あり得べき有事に備え、国民を守
るための財政余力を確保することは極めて重要である。大規模災害や感
染症は、予測困難であるが、ひとたび起こると甚大な影響を与えるブラッ
クスワンである。いつ、どのような事態が発生したとしても、国民の命・
暮らしを守り、経済を下支えする機動的な対応を可能とするため、平時に
蓄えをするとともに4、財政資金を安定調達できる環境維持のための政策
努力が不可欠である。
令和7年度(2025 年度)は、国・地方を合わせた基礎的財政収支(プ
ライマリーバランス)5黒字化の目標年度であり、我が国の経済財政運営
に対する市場からの信認を維持・確保するためにも、黒字化達成に向け、
不退転の覚悟を持って予算編成に臨むことが求められる。その上で、プラ
イマリーバランスの黒字化は、あくまで財政健全化に向けた取組の一里
塚であることも忘れてはならない。令和8年度(2026 年度)以降も、経
済の新たなステージへの移行を定着させるとともに、これまでの取組の
進捗・成果を後戻りさせることなく、経済再生と財政健全化を両立させる
歩みを更に前進させ、国家として培ってきた国際的な信用を次世代に引
き継がなければならない。こうした将来を見据えた営みこそ、今を生きる
我々の責務であろう。
以下、その詳細を述べる。
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英国のウィリアム・グラッドストン大蔵大臣は、1866 年の財政演説において、
「最近、平和な時
期に(中略)債務を増加させている(中略)。それは、平和な時期に戦争のための資源を費やし
ているようなものである。それはあたかも世界が豊作の年に、不作の年のために蓄える代わりに、
その豊作の全収穫を使い果たし、さらに別の収穫の半分を費やしているようなものである」と述
べている。
5 基礎的財政収支(プライマリーバランス)とは、その時点で必要とされる政策的経費を、その時
点の税収等でどれだけ賄えているかを示す指標。税収・税外収入と、国債費(国債の元本返済や
利子の支払いに充てられる費用)を除く歳出との収支のことを表す。プライマリーバランスが均
衡していれば、その時点で必要とされる政策的経費を、その時点の税収等で賄うことができてい
ることとなる(ただし債務残高の実額は利払費の分だけ増加する。)
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