令和7年度予算の編成等に関する建議 (13 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20241129/index.html |
出典情報 | 令和7年度予算の編成等に関する建議(11/29)《財務省》 |
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もはやコロナ禍ではない。未曾有の事態への緊急対応を余儀なくされ
た数年間は過ぎ去り1、我が国は、今、約 30 年ぶりの物価上昇に直面する
など新たな局面を迎えている。デフレからの脱却を確実なものとし、30
年来続いたコストカット型経済を転換させ、賃上げや活発な投資が牽引
する民需主導の自律的・持続的な経済成長を確かなものとするために潜
在成長力を高めていかなければならない。さらに、令和7年(2025 年)
はいわゆる「団塊の世代」2が全て 75 歳以上となる年であり、人口減少・
少子高齢化という我が国の抱える構造的な課題も未だ残されている。国
際社会の混迷の度合いも深まるばかりである。
国民の間に広がる漠然とした将来不安を解消し、希望ある社会にして
いくためには、政府としても、経済の新たなステージに向けた芽吹きを歓
迎し、注意深く丁寧に育んでいくと同時に、広範な政策課題を認識し、先
見性を持って対応していくことが求められる。その際、財政に求められる
役割や視座が自ずと変化していくことは言うまでもない。
経済が新たなステージへ移行する中、主要先進国同様、我が国の歳出規
模もコロナ禍前の巡航速度を見据え、速やかに平時化させる必要がある。
また、消費者物価上昇率が継続的に2%を超える中、コスト上昇に起因す
る財価格の上昇はピークアウトし、賃金上昇など基調的な要因による物
価上昇へと変化している。一方で GDP ギャップ3は今後プラスで推移す
る見通しであり、人手不足が深刻化する中で、財政出動が物価上昇を後押
しし、国民の暮らしや企業の活動にかえって悪影響を及ぼしかねない点
にも留意する必要がある。
金融環境も変化しており、国債については、海外投資家の国債保有割合
が増加する中、日本銀行が長期国債の買入れの減額を決定するなど状況
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新型コロナが社会生活にもたらした影響を否定するものではなく、新型コロナ感染リスクや後
遺症・ワクチン副反応等の症状が存続しており、対応が必要であることは言うまでもない。
2 第一次ベビーブーム(昭和 22~24 年(1947~1949 年)
)の時期に生まれた世代。
3 一国全体の財・サービス市場において、総需要が、景気循環の影響をならしてみた平均的な供給
力をどれほど上回っているのかを示すもの。
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