令和7年度予算の編成等に関する建議 (19 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20241129/index.html |
出典情報 | 令和7年度予算の編成等に関する建議(11/29)《財務省》 |
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主要先進国においては、コロナ禍後の需要回復等により物価上昇が継
続する中で、政策金利の累次の引上げ等の対応を講じてきた。我が国にお
いても、令和4年(2022 年)以降、物価上昇率が2%を超える中、日本
銀行は本年3月に 17 年ぶりの利上げを決定し、その後7月には追加利上
げを行った10。我が国の長期金利は上昇傾向にあり、1%を上回る水準ま
で上昇した。
〔資料Ⅰ-2-7参照〕
国債の保有者別割合の推移を見ると、平成 25 年(2013 年)に日本銀
行が量的・質的金融緩和を導入して以降、日本銀行の保有割合が高まる一
方、国内銀行等の割合は減少している。残る主体である海外投資家の保有
割合も緩やかに増加しており、特に国庫短期証券では全体の6割弱を占
めている。
〔資料Ⅰ-2-8参照〕
こうした中、日本銀行は、本年7月、長期国債買入れの減額計画11を決
定し、保有国債残高が令和8年(2026 年)3月までにおおよそ7~8%
減少するとの見通しを示している。その後も日本銀行の国債保有残高の
減少が見込まれる一方、民間試算では、国内銀行等による追加的な国債消
化余力は、金融規制等によって限度があり、日本銀行保有国債の減少分の
〔資料Ⅰ-2-9参照〕
一部にとどまる可能性を示唆している12。
金融政策の調整が進められる中で、各種規制等を考慮した国内銀行等
の国債消化余力の度合いや海外投資家の保有割合の上昇等を踏まえると、
国債の安定消化のためには、財政に対する市場からの信認維持が一層求
められる。
実際、拡張的な財政政策を掲げて 2022 年9月に誕生した英国トラス内
閣は、財源の裏付けがなく、独立財政機関による経済財政見通しも示さな
10
日本銀行は、無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標を本年3月に0~0.1%程度
とし、7月に 0.25%程度に引き上げた。
11 月間の買入れ予定額(令和6年(2024 年)7月 5.7 兆円程度)を毎四半期 4,000 億円程度ずつ
減額し、令和8年(2026 年)1~3月に3兆円程度とする。令和7年(2025 年)6月の金融政
策決定会合において令和8年(2026 年)4月以降の買入れ方針について検討しその結果を示す
ほか、必要な場合には金融政策決定会合において計画を見直すこともあり得る。
12 一部の民間シンクタンクは、一定の仮定を置いて試算すると、令和 22 年(2040 年)末時点の
日本銀行の保有国債残高が 120~250 兆円程度と、令和6年(2024 年)6月対比で 320~460 兆
円程度減少すると見込んでいる。一方、別の民間試算では、国内銀行等による追加的な国債消化
余力は、金融規制等により、150~200 兆円弱程度とされている。
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