令和7年度予算の編成等に関する建議 (70 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20241129/index.html |
出典情報 | 令和7年度予算の編成等に関する建議(11/29)《財務省》 |
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年金制度は、平成 16 年(2004 年)の制度改正において、急速に進行
する少子高齢化を見据えて、将来にわたって制度を持続的で安心できる
ものとするための年金財政のフレームワークが導入されている48。収入面
については、消費税率の引上げによる増収分で安定財源の確保を行った
基礎年金国庫負担割合の2分の1への引上げ等とあわせ、財政フレーム
の完成をみているところである。〔資料Ⅱ-1-92 参照〕
令和6年(2024 年)は、こうした枠組みに沿って財政検証を行い、そ
の結果を踏まえつつ、年金制度改革案を取りまとめる年にあたる。本年7
月に公表された財政検証においては、公的年金の給付水準を示す所得代
替率49について、①女性・高齢者の労働参加による被保険者数の増加や、
②好調な積立金運用の結果、1人当たりゼロ成長ケースを除き、マクロ経
済スライド終了時に所得代替率が 50%以上を維持することが確認された
一方、マクロ経済スライドが長期化することで、基礎年金の給付水準が低
下していくことも示されている。〔資料Ⅱ-1-93 参照〕
こうした結果も踏まえ、次期年金制度改革においては、高齢期の経済基
盤の安定や所得保障・再分配機能の強化を図るとともに、働き方に中立的
な制度の構築を目指すこと等が課題となる。〔資料Ⅱ-1-94 参照〕
以下、各論点についての当審議会の見解を示す。
①
基礎年金の給付水準の低下への対応
財政検証において、現行制度の下では基礎年金のマクロ経済スライド
を令和 39 年度(2057 年度)まで継続する必要があると見込まれている。
平成 16 年(2004 年)の制度改正当時には令和5年度(2023 年度)に調
整が終了すると見込まれていた調整期間がここまで長期化した理由は、
デフレ経済の下でマクロ経済スライドの発動が遅れ、足もとの給付水準
が高止まりしたためである。また、報酬比例部分と基礎年金の調整は同時
に終了すると見込まれていたものの、給付の算定式の違いにより基礎年
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負担の水準を固定し、給付を自動調整して長期的な財政均衡を図る仕組みが構築された。
公的年金の給付水準を示す指標。現役男子の平均手取り収入額に対する給付開始時におけるモ
デル年金額の比率により表され、令和6年度(2024 年度)は 61.2%となっている。
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