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令和7年度予算の編成等に関する建議 (20 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20241129/index.html
出典情報 令和7年度予算の編成等に関する建議(11/29)《財務省》
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いままに「成長戦略」を公表したこと等が問題視され、2022 年9月 23 日
の公表直後から、金利が急騰し、市場が大混乱した。自国通貨建て国債を
発行する先進国においても、財政運営次第で金利の急騰や国債価格の下
落が起き、利払費の増加のみならず、企業活動や国民生活にも影響が及び
得るという事態が現実のものとなったことは他山の石とすべきである。
〔資料Ⅰ-2-10 参照〕
こうした金利上昇により経済社会における資金調達コストが上昇する
こともある。その観点で我が国企業部門の投資効率を見ると、ROE(自
己資本収益率)は上昇傾向にあるものの、欧米と比較して低水準、かつ、
分散が少なく、低リターンの傾向にある。また、我が国の開業率・廃業率
ともに、欧米と比較して低水準で推移している。今後、資金調達コストが
上昇する中では投資効率の一層の向上に取り組むことが不可欠である。
その際、セーフティネットを整備しつつ、企業の適切な参入・退出を促し、
経済社会全体の活性化を目指す必要がある。〔資料Ⅰ-2-11 参照〕
政府部門においても、金利上昇は大きなインパクトを持つ。我が国の普
通国債残高は 1,000 兆円を超えており、諸外国と比べても金利上昇リス
クに対して脆弱な構造となっている。金利が上昇すれば、利払費が年を追
うごとに増加し、その影響が長期に及ぶことが懸念される。例えば、令和
7年度(2025 年度)以降金利がベースラインよりも1%上昇した場合の
影響を機械的に試算すると、令和 15 年度(2033 年度)の利払費は 8.7 兆
円増加する。
〔資料Ⅰ-2-12、13 参照〕
このような金利上昇局面を迎え、低金利状況下では拡張的な財政政策
をとるべきとの意見を表明していた米国の著名な経済学者も、当時の主
張を修正し、財政赤字を問題視するスタンスに転じている。
〔資料Ⅰ-2
-14 参照〕
さらに、金融市場のボラティリティー(価格の変動度合い)が高まる中
においては、国債格付についても意識する必要がある。海外格付機関が付
与した現在の日本国債の格付は、シングル A レンジとなっているが、こ
れは G7の中では最低レベル、アジアで見ると概ね中国と同程度、韓国
や台湾をやや下回る格付である。国債の格付は、国の資金調達はもとより、

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