令和7年度予算の編成等に関する建議 (25 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20241129/index.html |
出典情報 | 令和7年度予算の編成等に関する建議(11/29)《財務省》 |
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過去、当審議会は「海外の財政健全化の成功例に目を向けると、財政健
全化への国民的なコンセンサスが、その成功の根底にある」と指摘した18。
今後我が国で更なる財政健全化に取り組んでいくに当たっては、その前
提として、財政の現状や課題に対する国民の理解を醸成し、議論を喚起し
ていくことが重要であり、本建議がその一助となることを期待する。
米国では、民間のシンクタンクが経済界のリーダーや有力議員への直
接働きかけを通じた啓蒙活動を行い、国民や議会における財政健全化へ
の理解を醸成している。こうした取組の結果、議会でも財政健全化に取り
組むための超党派委員会の設置に向けた議員立法が審議されているとこ
〔資料Ⅰ-3-13 参照〕
ろである19。
我が国の将来には、もとより人口減少・少子高齢化による担い手不足と
いう厳しい課題が突き付けられている。そうした中、今を生きる我々が更
に国債に頼る財政運営を行い、将来世代に過度な負担を先送りすること
となれば、こども・若者世代を含む将来の国民が享受できるはずであった
貴重な財政資源を使い果たすことになりかねない。
その意味で、財政問題は、少子化や人口減少が進む中、環境問題等と同
様、世代間倫理に関わる課題でもある。その衡平を確保するには、まだ生
まれていない世代も含む将来世代の視点に立ち、遡って現在時点におい
て何が必要な行動となるかを議論し、実践することが重要である。このよ
うなフューチャー・デザイン20の考え方を活用した取組や国民的議論が社
「「経済・財政再生計画」の着実な実施に向けた建議」(財政制度等審議会(平成 28 年(2016
年)5月 18 日))
19 財 政 委 員 会 法 案 ( Fiscal Commission Act ) は 、 ① 議 会 に 超 党 派 の 財 政 委 員 会 ( Fiscal
Commission。上院議員6名(民主党3名、共和党3名)、下院議員6名(民主党3名、共和党3
名)と民間部門の専門家4名で構成)を設置し、②委員会は、「(I)債務と赤字の削減を含め、連
邦政府の長期的な財政状態を有意義に改善し、(II)2039 年度まで(15 年以内)に公的債務の GDP
に対する持続可能な比率(100%以下)を達成し、(III)公的医療保険や公的年金を支える連邦信
託基金の支払能力を少なくとも 75 年間改善する」ための財政再建案について報告書及びそれを
実現する法律案の両方を勧告として 2025 年5月までに議会に提出し、③上院・下院は勧告を採
決(議会に修正権限はなし)、可決された場合は自動的に法律案が提出され、それも採決される
ものとなっている(2023 年9月に発表され、2024 年1月下院・予算委員会で法案可決、現在下
院にて継続審議中)。
20 フューチャー・デザインとは、将来世代は現在の政策決定に意思を反映できないという問題意
識に立ち、現世代が将来世代の役割を演じるなどの手法により、将来可能性(将来世代の利益の
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