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参考資料 (326 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198111_00025.html
出典情報 医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議(第27回 3/12)《厚生労働省》
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Kaplan-Meier法による胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の累積再発率
さらに、投与24週以降、本剤を最大52週間継続投与した場合
(累計で最大76週間投与)、Kaplan-Meier法により推定した胃潰
瘍又は十二指腸潰瘍の累積再発率は、1日1回5mgで3.7%(95%
信 頼 区 間 : 1 . 5 3 , 8 . 6 4 )、 1 日 1 回 1 0 m g で 2 . 2 % ( 9 5 % 信 頼 区
間:0.72,6.75)であった。なお、投与24週以降、対照群は本剤1
日1回5mg又は1日1回10mgに切り替えて、最大52週間継続投与
した。
〈胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリの除
菌の補助〉
17.1.4 国内臨床試験
ヘリコバクター・ピロリ陽性の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の患者
を対象とした国内の臨床試験(ラベプラゾールナトリウム、ア
モキシシリン水和物及びクラリスロマイシンの1日2回7日間経
口投与)における除菌率は下表のとおりである。
副作用は、ラベプラゾールナトリウム10mg、アモキシシリン
水和物750mg(力価)、クラリスロマイシン200mg(力価)投
与により、129例中40例(31.0%)に認められ、主な副作用は下
痢16例(12.4%)、軟便13例(10.1%)であった。また、ラベプ
ラゾールナトリウム10mg、アモキシシリン水和物750mg(力
価)、クラリスロマイシン400mg(力価)投与により、123例中
55例(44.7%)に副作用が認められ、主な副作用は下痢26例
(21.1%)、軟便13例(10.6%)、味覚異常13例(10.6%)、腹痛7例
(5.7%)であった19)。

各薬剤の1回投与量

投与
回数

除菌率
十二指腸
胃潰瘍
潰瘍



ラベプラゾールナトリウム10mg
87.7%
83.3%
85.7%
アモキシシリン水和物750mg(力価) 2回/日
(57例/65例)(45例/54例)(102例/119例)
クラリスロマイシン200mg(力価)
ラベプラゾールナトリウム10mg
89.7%
87.8%
89.0%
アモキシシリン水和物750mg(力価) 2回/日
(61例/68例)(36例/41例)(97例/109例)
クラリスロマイシン400mg(力価)
なお、海外で行われたヘリコバクター・ピロリ陽性の胃・十二
指腸潰瘍等に対する除菌の臨床試験注)においても、同程度の
成績が得られている。
注)各薬剤の投与量、及び投与期間は下記のとおりであり、国
内の承認用法及び用量とは異なる。
ラベプラゾールナトリウムとして1回20mg、アモキシシリ
ン水和物として1回1000mg(力価)及びクラリスロマイシ
ンとして1回500mg(力価)の3剤を1日2回、7日間経口投

また、プロトンポンプインヒビター(ランソプラゾール)、ア
モキシシリン水和物及びクラリスロマイシンの3剤投与による
ヘリコバクター・ピロリの除菌治療が不成功であったヘリコバ
クター・ピロリ陽性の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の患者を対象と
した国内の検討(ラベプラゾールナトリウム、アモキシシリン
水和物及びメトロニダゾールの1日2回7日間経口投与)におけ
る除菌率は82%(49例/60例)と報告されている20)。

18. 薬効薬理
18.1 作用機序
本剤は酸分泌細胞の酸性領域で活性体(スルフェンアミド体)
になり、プロトンポンプ(H+、K+-ATPase)のSH基を修飾し
て酵素活性を阻害し、酸分泌を抑制する。さらに阻害された酵
素活性の回復には、主に作用部位からの薬物の消失あるいはグ
ルタチオンによる活性体の消失が関与しているものと考えられ
る。その他、グルタチオンによって酵素活性が回復する可能性
も推測される。
18.2 胃酸分泌抑制作用
18.2.1 健康成人男子におけるガストリン刺激酸分泌に対し、1日
1回10mg投与、1日1回20mg投与でともに投与初日から著明な
抑制作用を示し、投与1日目及び7日目の酸分泌量の減少率は
1日1回10mg投与で72〜76%、90〜96%、1日1回20mg投与で88〜
89%、99%である21),22)。
18.2.2 ウサギ摘出胃腺標本におけるジブチリルサイクリック
AMP刺激による胃酸分泌を抑制する23)(


18.2.3 慢性胃ろう管装着犬におけるヒスタミン、ペンタガスト
リン刺激胃酸分泌、並びにラットにおける基礎胃酸分泌及びヒ
スタミン刺激胃酸分泌に対し強力な抑制作用を示す23)〜25)。
イヌあるいはラットにおける胃酸分泌抑制作用の回復は、他の
プロトンポンプ阻害剤に比較し速く、血中ガストリンの上昇は
少ない23),26)。
18.3 胃内pH上昇作用
健康成人男子における胃内pHに対し、1日1回5mg投与、1日
1回10mg投与、1日1回20mg投与でともに著明な上昇作用を示し、
投与5日目の24時間中にpH4以上を示す時間の割合は1日1回
5mg投与のEM※で46%、PM※で63%、1日1回10mg投与のEM※
で58%、PM※で72%、1日1回20mg投与のEM※で61%、PM※で
76%である2)。
※肝代謝酵素チトクロームP450 2C19(CYP2C19)表現型は、
下記遺伝子型より分類される。
EM(extensive metabolizer):CYP2C19*1/*1、CYP2C19*
1/*2又はCYP2C19*1/*3
PM(poor metabolizer):CYP2C19*2/*2、CYP2C19*2/*3
又はCYP2C19*3/*3
18.4 H+、K+-ATPase阻害作用
ブタ胃粘膜より調製したH+、K+-ATPaseに対し、強い阻害作
用を示す27),28)(


18.5 抗潰瘍作用
ラットを用いた各種実験潰瘍あるいは実験胃粘膜病変(寒冷拘
束ストレス、水浸拘束ストレス、幽門結紮、システアミン、塩
酸-エタノール及びアスピリン)に対し、強い抗潰瘍作用ある
いは胃粘膜病変改善作用を示す24),29),30)。
18.6 作用機序
〈ヘリコバクター・ピロリ除菌の補助〉
アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシン、アモキシシリ
ン水和物及びメトロニダゾールとの3剤併用療法におけるラベ
プラゾールナトリウムの役割は胃内pHを上昇させることによ
り、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンの抗菌活性
を高めることにあると考えられる。
18.7 除菌効果
〈ヘリコバクター・ピロリ除菌の補助〉
スナネズミを用いたヘリコバクター・ピロリ感染モデルにおい
て、胃内生菌数に対するアモキシシリン水和物とクラリスロマ
イシンの2剤併用の効果は、ラベプラゾールナトリウムを加え
ることにより、相乗効果が認められた。
19. 有効成分に関する理化学的知見
一般名:ラベプラゾールナトリウム(Rabeprazole Sodium)
化学名:Monosodium( )-2-({[4-(3-methoxypropoxy)-3methylpyridin-2-yl]methyl}sulfinyl)-1 -benzimidazolide
分子式:C18H20N3NaO3S
分子量:381.42
性 状:ラベプラゾールナトリウムは白色〜微黄白色の粉末であ
る。
本品は水に極めて溶けやすく、エタノール(99.5)に溶
けやすい。
本品は0.01mol/L水酸化ナトリウム試液に溶ける。
本品は吸湿性である。
本品の水溶液(1→20)は旋光性を示さない。
本品は結晶多形が認められる。
融 点:225℃(分解)
分配係数:約214(pH7.0、水−1‑オクタノール系)

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