資料1-1 令和5年度研究事業実施方針(案)【AMED研究】 (122 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26761.html |
出典情報 | 厚生科学審議会科学技術部会(第130回 7/14)《厚生労働省》 |
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上記の事業成果の導出により、慢性の痛み医療の均てん化、患者の QOL の向上に貢献
する。また、慢性の痛みの評価指標の構築および治療の最適化を目指すことで、将来的
な慢性の痛みを理由とする労働力の低下を防止し、障害や疾病の特性等に応じて最大限
活躍できる社会の実現につなげる。
(2)これまでの研究成果の概要
○条件づけに由来する痛みの視覚化および画期的慢性疼痛治療薬に向けた研究開発
痛み刺激を与えた2週間後にマウスを「以前に痛みを与えられた環境」に晒すと再
び痛み様行動を示した。同じ環境に晒すだけで再発するこの痛みは、慢性疼痛の一因
に な る可 能性が あり、海馬が 関与している可能性が高いことも明らかになった
(Neuroreport. 2021,32(5):386-393.)。(令和2年度)
○脊髄損傷後疼痛の発症にかかわる中枢神経系の機能的・構造的変化の探索
脊髄損傷後神経障害性疼痛において、脊髄後角の神経細胞の不活性化が損傷部位に
細胞内 ATP の蓄積を引き起こし、その後の感覚刺激が細胞外への ATP の放出を喚起し、
アロディニアを引き起こすという新たな知見をマウスモデル実験で見出した(Brain
Commun. 2021; 3(2), fcab058)。(令和2年度)
(3)これまでの研究成果の政策等への活用又は実用化に向けた取組
疼痛に関する記憶回路や疼痛細胞の ATP 放出機構の解明で得た知見や成果をもとに
新たな治療戦略の創出に貢献した。
2 令和5年度に推進する研究課題
(1)継続研究課題のうち優先的に推進するもの(増額要求等するもの)
・「新規シナプス分子に着目した神経障害性疼痛の病態機序の解明とその予防および治
療薬創出を目指した研究」
新規シナプス分子に関連する疼痛因子に対する候補治療薬実験を想定以上に行わ
ねばならぬ場合の研究規模の拡充。
・「侵害可塑性慢性疼痛の脳内成立機構解明とその予防戦略の神経基盤探索」
侵害可塑性慢性疼痛解明のためのモデル動物薬効評価実験や、研究法の企業導出の
ためのデータ追加を必要とする場合の研究規模の拡充。
・「AMPA 受容体密度を指標とした慢性疼痛患者の痛み定量化バイオマーカー開発研究」
得られた結果を検証するための PET イメージング研究規模の拡充。
(2)新規研究課題として推進するもの
・「侵害受容性疼痛としての特徴を持つ慢性疼痛における、物理的刺激に対する応答変
容の機序解明に向けた研究」
物理的刺激の受容・調節および刺激受容後の神経伝達や細胞内シグナル伝達等の機
序を解明する。
・「慢性疼痛の客観的・定量的評価法の確立に向けたシーズ探索に関する研究」
痛みは主観的な感覚であるため、診察所見と自覚症状が乖離することを是正するために
客観的指標を確立する。
・「慢性疼痛に影響する複合的要因の分析に基づく効果的な治療法や介入法の確立に向
けた研究」
慢性化する痛みについて、基礎的な研究を実施するとともに、個々のライフステージも俯
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