資料1-1 令和5年度研究事業実施方針(案)【AMED研究】 (126 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26761.html |
出典情報 | 厚生科学審議会科学技術部会(第130回 7/14)《厚生労働省》 |
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〇新規抗原を用いた CD8 陽性 T 細胞誘導 HIV ワクチンの経直腸粘膜感染防御効果を動物
実験で明らかにした。また、多様性の高い表面蛋白抗原を用いない HIV ワクチンで、
初めて抗体非依存性の粘膜感染防御効果を示した。(研究継続中)
〇HIV 特異的 TCR をヒト iPS 細胞に遺伝子導入した HIV-iPS-T (iPS 細胞由来 HIV 特異
的 CD8+T 細胞)を作製し、親 CTL クローンよりも in vitro で長く生存し、HIV の複製
を抑制できることを明らかにした。(研究継続中)
〇新規 PKC 活性化剤 10-Methyl-aplog-1(10MA-1)とブロモドメインおよびエクストラ
ターミナルドメインモチーフの阻害剤 JQ1 との併用により、強力かつ相乗的に潜伏感
染 HIV を再活性化することを見出した。(研究継続中)
〇HIV-1 の 5ʼ末端における G の残基数が一つの場合と、二つ以上の場合で、構造の安定
性が大きく異なり、ゲノム RNA 構造に与える影響を解明した。また 5ʼ末端に G が一つ
の場合は 5ʼ-UTR の一部分で安定な構造が形成されること、およびその立体構造を明
らかにした。(研究継続中)
(3)これまでの研究成果の政策等への活用又は実用化に向けた取組
〇多様性の高い表面蛋白抗原を用いない設計は、各種ウイルスベクターなどを含むワク
チンシーズにも応用が可能であり、新規抗原設計を導入した HIV ワクチンは、HIV の
多様性に対して交差性の高い有効なワクチンとして、臨床試験有効性評価段階に進展
させる。
〇iPSC-CTL がウイルス複製に対して抑制的圧力を持続的に発揮する可能性を示したこ
とにより、HIV 特異的 CTL を LRA と組み合わせた養子細胞移入は、HIV の治癒/寛解の
ための新たなエイズの治療に繋がる。
〇高濃度の 10MA-1 単独では、副作用として CD25 発現および初代 CD4+T リンパ球におけ
る炎症性サイトカイン産生によって定義されるグローバル T 細胞活性化を誘発した
が、JQ1 は用量依存的に 10MA-1 誘発副作用を効率的に抑制できている。10MA-1 は、
ブリオスタチン 1 やプロストラチンに比べて合成に要する工程が少なく、入手しやす
いことから、10MA-1 と JQ1 の組み合わせは、 shock and kill 療法の臨床応用に有
望な LRA の組み合わせとなる。
〇G1G(5ʼ末端に G が一つの場合)の立体構造は、生体内に潜む HIV-1 の増殖を制御す
る新しい創薬のターゲットとなる。また、近年急速に進展している RNA をターゲット
とした創薬にもつながる。
2 令和5年度に推進する研究課題
(1)継続研究課題のうち優先的に推進するもの(増額要求等するもの)
○新規ワクチン・治療薬開発
獲得見込みの抗体誘導 HIV ワクチン候補については、本研究期間終了後、国際共同
臨床試験に向けての進展が期待されるが、ブースト法の確立がされていないことか
ら、中和抗体誘導過程・機序の解明を進め、プロトコル至適化を推進させる必要があ
る。
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