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資料1-1 令和5年度研究事業実施方針(案)【AMED研究】 (127 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26761.html
出典情報 厚生科学審議会科学技術部会(第130回 7/14)《厚生労働省》
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○HIV 根治に向けた医薬品シーズ探索
現在、HIV 根治に向けた shock and kill 戦略におけるエフェクター強化として
の iPS 細胞技術を用いた新規免疫細胞療法の開発が進められ、臨床応用も視野に入っ
ているが、大型動物を用いた安全性、有効性確認実験については十分にデータを得る
必要がある。
○HIV 感染の機構解明
HIV 感染症完治には潜伏感染ウイルスを排除することが必須であるため、潜伏感染
時のウイルスリザーバーやウイルスの増殖・持続に関する基盤的研究の推進及び抗
HIV 薬の潜伏感染ウイルスへの有効性を評価することが必要となる。
○HIV 関連病態解明と治療法開発
血友病患者が薬害エイズとして国による恒久的保証の対象であるため、血友病克服
に向けた研究は重点的に推進する必要がある。また、HIV に重複感染した C 型慢性肝
炎例は、HCV 単独感染例に比べ線維化の進行が 1.5 倍速く、肝硬変への進行例が多い
と報告されている。HIV/HCV 重複感染の肝硬変は門脈圧亢進症を伴いやすく、食道静
脈瘤からの出血が臨床上問題となっている。HIV 感染症の予後が抗 HIV 治療薬の開発
で著明に改善した一方で、最近の HIV 感染症の死亡例は HCV 感染などによる肝疾患に
起因する症例が増加しているため喫緊の課題である。
(2)新規研究課題として推進するもの
○ヒトの HIV 感染における感染モデル研究
HIV 感染症の根治が確立できていない一因として、HIV 感染を支持・再現できる適
切な動物モデルがないことが挙げられる。このことから、新たなヒト HIV 感染を模式
する動物モデルの確立や、ヒト免疫反応を模式する HIV 感染モデルを確立し、HIV ワ
クチン等の評価への応用を目指す。
○服薬アドヒアランス確保に向けた新たな抗 HIV 療法創出のための研究
経口製剤のみの抗 HIV 療法は、患者 QOL の低下、HIV 感染者の高齢化、認知症合併
等に対しての服薬アドヒアランスの確保が大きな課題となることが予想される。この
ため既存の経口製剤に代わる非経口的投与法による抗 HIV 療法の確立や、長期抗 HIV
作用効果の獲得に繋がる研究を推進する。
〇HIV 感染における新たな治療戦略の創出に資する研究
ART 治療の進歩により HIV 感染症の予後は著しく改善されたが、潜伏感染細胞に存
在する HIV を完全に排除することはできない。このため新たな潜伏感染機序の解明
を進めるとともに、克服へ向けた新規薬剤標的探索を行い、新たな治療戦略を創出す
る。
(3)令和5年度の研究課題(継続及び新規)に期待される研究成果の政策等への活用又は
実用化に向けた取組
〇服薬アドヒアランス確保に向けた新たな抗 HIV 療法創出のための研究
治療薬の非経口的投与について、長期作用効果を持つ薬剤を用い、患者に負担の少
ない投与方法を確立することで、患者 QOL の大幅な向上に繋げることが可能となる。
また、非経口的投与を用いた抗 HIV 療法により、認知症を合併する高齢者等、服薬ア
ドヒアランス確保の困難な症例に対し、確実な抗 HIV 療法の実施が可能となる。
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