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参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (102 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
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Q4

高齢がん生存者にリハビリテーション治療は必要か?

A4

身体活動量の維持・向上は健康の維持や生命予後の改善のために有効であることから、高齢
がん生存者に対するリハビリテーション治療は必要である。

【 解説 】
「フレイル」を有する地域在住高齢者に対するリハビリテーション治療による筋量、筋力、歩行能
「フレイル」と診断された高齢がん患者に対するリ
力への効果は多くの研究で報告されているが 1)、
ハビリテーション治療の効果についての報告はほぼみられない。
しかしながら、閉経後乳がん患者に対するコホート研究では、診断前の身体活動量が低くても、
診断後に 9METs-hour/week 以上の身体活動性を維持できた患者では、有意な全死亡リスクの低下
が認められた(ハザード比: 0.67,95%CI: 0.46-0.96)と報告されており 2)、また、わが国の乳癌診
療ガイドラインでも、
「診断後の身体活動が高い女性では、全死亡リスクが減少することはほぼ確実
である」とされており 3)、がん生存者に対する運動療法の重要性が示されている。さらに、American
Cancer Society (ACS)による「がんサバイバーのための栄養と身体活動のガイドライン」
(Nutrition
and physical activity guidelines for cancer survivors)では、がん患者の健康維持のために、少な
くとも週 150 分以上の中等度の強度での有酸素運動、もしくは、週 75 分以上の高強度の有酸素運
動(ウォーキング、ジョギング、エルゴメーターなど)
、可能であれば併せて週 2 回以上の筋力トレ
ーニングを行うことが推奨されている 4)。また、同ガイドラインでは、65 歳以上の高齢者において
も、可能であれば同等の身体活動量性を維持すること、慢性疾患などで活動性に制限がある場合は、
不活動の時間をできるだけ避け、身体活動性を能力に応じて可能な限り維持・向上させることが推
奨されている。
以上のように、
「フレイル」の有無にかかわらず、健康の維持や生命予後の改善のためには、高齢
がん生存者に対するリハビリテーション治療は重要である。

文献
1)

山田実. 筋量・筋力向上によるフレイル予防. 島田裕之. フレイルの予防とリハビリテーショ
ン. 医歯薬出版; 2015. 86-92

2)

Irwin ML et al. Physical activity and survival in postmenopausal women with breast
cancer: results from the women’s health initiative. Cancer Prev Res. 2011; 4: 522-529

3)

日本乳癌学会. 科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドライン 2 疫学・診断編 2015 年版. 第 3 版.
金原出版; 2015. 128-131

4)

Rock CL et al. Nutrition and physical activity guidelines for cancer survivors. CA Cancer J
Clin. 2012;62:243-274

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