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参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (163 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
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手技の難易度が高く長時間治療を予定していることが多く、麻酔科医に相談するか、あるいは
手術室での全身麻酔も選択肢として考慮する必要がある。
内視鏡治療時の抗血栓薬の取り扱いは、2012 年に日本消化器内視鏡学会より発表された「抗
血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン」5)および 2017 年に発表された「直接経
口抗凝固薬(DOAC)を含めた抗凝固薬に関する追補 2017」6)を参照されたい。これらのガイ
ドラインでは従来の出血リスクに重きを置いたものから、休薬による血栓発症リスクを重視し
た内容に変更されている。ガイドラインでは血栓症リスクの回避が重視されているが、個体差
の大きい高齢者では、より慎重な抗血栓薬のマネージメントが必要である。内視鏡医との連携
で、時には担当医がガイドラインを認識していないこともあり、その際には、内視鏡医からの
提言が必要である。本ガイドラインでは、内視鏡治療は出血高危険度内視鏡に分類され、それ
ぞれの抗血栓薬に準じた対応が必要である。また血栓塞栓症発生リスクの評価と内視鏡手技に
伴う出血リスクの評価もされている。非弁膜症性心房細動(NVAF)患者の心原性脳塞栓症発
症リスク評価に CHADS2 スコアが、また心房細動症例の出血リスク評価として HAS-BLED ス
コアが広く使用されているが、前者は、75 歳以上、後者は、65 歳以上の高齢者が危険因子の一
つとして挙げられており、注意を要する。
高齢者の内視鏡治療時の工夫として上部内視鏡では高齢者は、急速な送気や過剰な送気によ
る胃腸管壁の伸展は迷走神経反射、不整脈が起きやすい 7)。愛護的に内視鏡を進めたり、時に
はやや脱気したり、送気に炭酸ガスを使用するように心掛けたい。また誤嚥予防のために検査
中に仰臥位にならないように注意し、治療前の歯ブラシ、うがい、口腔清拭等の口腔ケアも重
要である。下部内視鏡では、高齢者は軸保持短縮法での挿入が困難な場合も多く、細径スコー
プの方が疼痛も少なく挿入も容易であり、挿入困難例では使用を心掛けたい。また、酸素投与
されている患者では SPO2 は換気の指標としては遅延することが多く、モニタリングの工夫と
してカプノグラフィーの使用が推奨される 8)。

文献
1)

名越澄子 他: 消化管内視鏡検査. 治療における医療事故とその安全対策(厚生労働省研究デー
タ). 日内会誌 2006 95:1387-1393

2)

古田隆久 他: 消化器内視鏡関連の偶発症に関する第 6 回全国調査報告. Gastroenterological
Endoscopy2016 58 : 1466-1491

3)

日本老年医学会編: 高齢者の安全な薬物療法ガイドライン 2015. 日本老年医学会,2016

4)

小原 勝敏 他: 内視鏡診療における鎮静に関するガイドライン. Gastroenterological Endoscopy

2013 55:3822-3847
5)

藤本一眞 他: 抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン. Gastroenterol
Endosc 2012 54:2075-2102

6)

加藤元嗣 他: 抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン 直接経口抗凝固薬
(DOAC)を含めた抗凝固薬に関する追補. Gastroenterol Endosc 2017 59:1547-1558

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