参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (176 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html |
出典情報 | がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》 |
ページ画像
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
高齢がん患者の抑うつはどう評価すべきか?
A6-1
うつ病の確定診断は、問診と鑑別すべき類似疾患の除外によって行う。
A6-2
スクリーニングの実施が推奨される。
【 解説 】
A6-1
抑うつは、自然な感情としての落ち込みからうつ病に至るまでさまざまであるが、臨床的に問題
となるのは、抑うつ症状が重く持続している状態(いわゆるうつ病)である。
うつ病の診断は、高齢がん患者においても、非高齢者・非がん患者と同様に行う。問診(通常はア
メリカ精神医学会の基準:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders fifth edition
(DSM-5) 1)、または、WHO 国際基準 International Classification of Diseases tenth edition (ICD10))
2)を用いる)と、類似疾患の除外によって診断を確定する。精神科医や心療内科医などの専門
家による診断が一般的であるが、訓練をつめばそれ以外の医師(たとえばプライマリ医)でも診断
可能である。少なくとも疑いを持つことは可能である。がんが難治であることや終末期など、
「気持
ちが落ち込みのも無理はない」と考えられる状況であったとしても、診断基準上うつ病に合致すれ
ば、うつ病として治療する。過少診断に伴う治療の機会の逸失を防ぐためである。
以下が、うつ病の診断基準の概略である。
以下の症状のうち、少なくとも 1 つ。
1. 抑うつ気分
2. 興味または喜びの喪失
さらに、以下の症状を併せて、合計で 5 つ以上
3. 食欲の減退あるいは増加、体重の減少あるいは増加
4. 不眠あるいは睡眠過多
5. 精神運動性の焦燥または制止(沈滞)
6. 易疲労感または気力の減退
7. 無価値感または過剰(不適切)な罪責感
8. 思考力や集中力の減退または決断困難
9. 死についての反復思考、自殺念慮、自殺企図
・上記の症状がほとんど 1 日中、ほとんど毎日あり、2 週間にわたっている。
・症状のために著しい苦痛または社会的、職業的、または他の重要な領域に
おける機能の障害を引き起こしている。
・これらの症状は一般身体疾患や物質依存(薬物またはアルコールなど)では説明できない。
また、がん患者において、抑うつの潜在を示唆する他覚的所見には以下のような徴候がある;社
会的ひきこもり(例:外出をしなくなる、以前のような人間関係をもたなくなる)、医療への不参加
(例:リハビリテーションに乗り気でない、など)
、情緒的反応の減少(例:嬉しいニュースがあっ
168