参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (112 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html |
出典情報 | がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》 |
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クレアチニンクリアランス
調製濃度
(mL/min)
>60
4 mg/100 mL
60-50
3.5 mg/100 mL
49-40
3.3 mg/100 mL
39-30
3.0 mg/100 mL
(3)一般的な注意点
①BMA 長期投与による腎障害に対し予防法はあるか?
ゾレドロン酸による腎機能障害を軽減する可能性として、投与間隔の延長が考えられる。ゾレドロ
ン酸の投与間隔を通常の 3 週毎と 12 週毎で 2 年間観察したランダム化比較試験では、投与間隔を
延長しても SRE の頻度は変わらず、腎機能障害の頻度は、12 週毎投与が有意に低い(19.9% vs
15.5%, p=0.02)結果が示されている 18)。
②低カルシウム血症対策は?
デノスマブによる低Ca血症の頻度は、ゾレドロン酸に比べ高い(9.6% vs 5.0%, p<0.001, 表1)8)
9)10)11)。従って、デノスマブの投与では、天然型ビタミンDおよびCa製剤(沈降炭酸Ca/コレカル
シフェロール錠;デノタスⓇチュアブル配合錠)の併用を行う。しかし、Ca補充を行っても5%程度
の患者に低Ca血症が生じる。デノスマブによる低Ca血症の危険因子としては、投与前の血清Ca値が
低いことや腎機能障害の有無である19)20)。従って、高齢者におけるデノスマブ使用においても、臨
床症状(テタニー;手指や口唇,舌のしびれ,動悸,筋痙攣)や腎機能、血清Ca値をよく観察す
る。なお、血清Ca値は、アルブミン値低下のある高齢がん患者では、補整が必要である。
(補正血清Ca濃度(mg/dL)=血清Ca濃度(mg/dL)-血清アルブミン濃度(g/dL)+4)
)
また、腎機能障害のある場合、ビタミンDの活性化が障害されているため、活性型ビタミンDの使用
が望ましい。
③BMAは、いつまで続けるべきか?
骨関連事象(skeletal related event:SRE)を減らすビスホスホネート系薬剤であるが、骨粗鬆
症治療においては、薬剤を長期使用(2-6年)している患者において、非外傷性の大腿骨転子下及
び近位大腿骨骨幹部の非定型骨折が生じることが知られる21)。デノスマブにおいては、骨代謝マ
ーカーや骨密度の測定結果から、その効果は可逆的であると考えられる22)。従って、デノスマブ
中止後の椎体骨折が報告されている23)。骨転移を有する高齢がん患者にBMAを投与した場合、
骨転移を有してもがん患者の長期予後が考えられる場合、リスクとベネフィットを考慮したBMA
の継続が望まれる。
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