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参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (173 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
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Q5

高齢がん患者において、抑うつの評価と治療はなぜ重要か?

A5-1

QOL と生命予後に重大な影響を及ぼす。

A5-2

有病率が高い。

【 解説 】
A5-1
うつ病は患者に苦痛をもたらすだけでなく、さまざまな側面で患者の QOL を脅かす。継承でも、
痛みや performance status(PS)低下に匹敵する QOL 低下をもたらす 1)。生命予後の増悪因子で
あることも複数の研究で実証されている。がん自体による死亡率とがん以外の原因による死亡率の
両方を高める 2)3)4)。死亡率増加の要因としては、抗がん治療へのアドヒアランスの低下 5)、セルフ
ケアの低下(運動不足 6)、飲酒や喫煙 7)などの好ましくない生活習慣と関連)、治療における決断へ
の影響(終末期近くで抗がん治療を受け続け、結果的に身体予後を増悪させる 8)などが関連しうる)。
うつ病を併存している患者はそうでない患者よりも入院期間が長くなる 9)10)。うつ病は痛みなどの
不快な身体感覚を増強する 11)。自殺念慮や「早く死にたい」という気持ち(wish for hastened death)
を高め、抗がん治療の拒否、安楽死の希望(海外では)医師による自殺幇助に関連する 12)。うつ病
に伴う免疫機能の低下も報告されている 13)。
高齢者は身体的予備能力が低いため、軽度の抑うつであっても早期に機能障害を来たしやすく、
若年者と比較してより迅速に対応する必要がある。
A5-2
がん患者における抑うつの頻度は一般人口より高い

14)15)。

がん診断直後の高率な自殺率は、が

ん患者における心理ストレスの高さを象徴している 16)。
厳密な診断基準を適応した最近のメタ解析では、がん患者の大うつ病性障害(中核的なうつ病)
は 16.3% (13.4-19.5)であり、軽症のうつ状態は 19.2% (9.1–31.9)であった 17)。うつ病はあらゆるが
ん種のあらゆる病期で生じうる。判明しているリスク因子には、若年、低教育歴、がんの病期が進ん
でいること、うつ病の既往、ソーシャルサポートの低さ、身体症状が重いこと、満たされていないニ
ーズ(unmet needs)が多いこと、神経症傾向が含まれる

165

18)19)20)21)22)。