参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (85 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html |
出典情報 | がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》 |
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FIM は介護量(Burden of care)の測定を目的とし、「している ADL」を評価する。すなわち患
者に動作をさせて採点するのではなく、日常生活では実際にどのように行っているかを観察などに
よって採点する。大項目 2(運動項目と認知項目)
、中項目 6(セルフケア、排泄コントロール、移
乗、移動、コミュニケーション、社会的認知)、小項目 18 から構成され、これらの項目を共通の採
点基準(1 点~7 点)で評価する 26)27)。従って、運動 13 項目の合計点(運動 FIM)は 13~91 点、
認知 5 項目の合計点(認知 FIM)は 5~35 点になる。
リハビリテーション治療の効果を示す臨床指標としては、FIM利得(退院時FIM点数-入院時
FIM点数)やFIM効率(1日あたりのFIM利得=FIM利得/入院日数)が用いられる。また、FIM運動
項目が50-60点台の半介助群の場合は「移乗やトイレ動作に介助が必要であるが、食事、整容、排泄
管理は出来る」
、70点台のセルフケア自立群の場合は「入浴の際には、介助を有し、歩行/車椅子は一
部介助だが、他の項目は自立している」
、80点台後半では「階段を含め自立している」と表現するこ
とができる28)。IADLに関する評価項目が含まれていないので、自立生活が可能か否かは評価できな
い。
・Barthel index (BI)
Barthel index
14)
(以下 BI)は、FIM と同様に介護量(Burden of care)の測定を目的とし、
「し
ている ADL」を評価する。ADL 評価法としては歴史が古くデータも豊富である。評価項目は 10 項
目から構成される。評定尺度は自立、部分介助、介助の 3 段階でそれぞれの項目に 5 点から 15 点の
配点がなされ、すべて自立であれば総得点は 100 点、すべて介助であれば 0 点となる
29)30)。採点
が簡便であるが、一方では、整容や入浴では評定尺度が 2 段階(5 点と 0 点)、他の項目でも 3~4
段階であり、FIM と比較するとリハビリテーション治療の効果を細かくとらえることができない。
また、認知項目が含まれていないことが欠点である。
・Katz Index
評定尺度は、2 段階(自立か介助)である。評価項目は ADL 動作を 6 項目から構成される。それ
らの項目の難易度が決められており、難易度の高い順に、入浴、更衣、トイレ、移乗であり、難易度
の低い項目は排泄、食事である 31)32)。
主に、高齢者や悪性腫瘍(がん)の治療・予後研究や投薬治療効果比較などの臨床研究で用いられ
ている。利点は簡便に評価可能なことであるが、評定尺度が粗いことや機能障害の状況により、難
易度の順番が通常と異なる場合には評価が困難になることが欠点である。
6-4.手段的 ADL(IADL)
ADL に近い概念として IADL がある。IADL とは、周辺環境や社会生活に関連した日常の活動で
ある。具体的には、料理・掃除・洗濯などの家事、育児、買い物、公共交通機関の利用、服薬の管理、
金銭の管理などで構成され、在宅生活での自立的な生活能力を評価する。ADL はヒトが自立して生
活するための基本的な身体的動作を指しているのに対し、IADL はより応用的な動作や社会的自立
に必要な活動を指す。
IADL は、重要な項目が年齢・性別・生活環境(家庭内での役割・住居の状態・生活スタイル)な
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