参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (124 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html |
出典情報 | がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》 |
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皮膚障害
Q1
高齢者の皮膚は非高齢者と異なるか?
A1
高齢者の皮膚は、皮脂分泌・発汗機能が低下するため乾燥しやすく、真皮の膠原線維が減
少するため脆弱性が目立つ。
【 解説 】
一般に、高齢者の皮膚は皺が目立ち、季節や外気の変化とともに乾燥しやすい。皮膚は、表皮と真
皮から成る。表皮は皮脂膜を作り、体表を覆うことにより乾燥から身体を守る。一方、真皮は膠原線
維や弾性線維などから成る、いわゆる「動物線維」であり、体表を形作る上で必須の組織である。さ
らに、真皮には血管が走行し、毛髪など皮膚の多様な構造を栄養している。
加齢に伴い、皮膚の代謝には変化が現れる。表皮では皮脂の分泌が低下し、汗腺の発汗機能も低
下する。このため、皮膚の表面では皮脂膜が消失し、肌の瑞々しさが失われる。さらに角質が露出
し、角層に対して光が乱反射する結果、乾燥肌は白く目に映る。また、自覚症状として痒みを伴った
り、湿疹などを併発したりする場合もある。一般に、乾燥肌や湿疹・皮膚炎は小児期にも好発する。
やがて、第二次性徴とともに皮脂が豊富に分泌されるようになると、皮膚の乾燥は軽減し、湿疹・皮
膚炎も消退することが多い。しかし、更年期になり性ホルモンの分泌が低下すると、再び皮膚は乾
燥し、痒みを伴いやすくなる。従って、がん薬物療法を高齢者に対して行う際には、皮膚の乾燥や痒
みに十分留意する必要がある。
加齢に伴い、真皮にも変化が現れる。特に高齢者の前腕部では、健常者でも紫斑が現れることが
ある。この原因は、膠原線維が減少したり、血管が脆弱化したりすることによるものである 1)。
文献
1)
籏持淳. 加齢に伴う皮膚の変化. Dokkyo Journal of Medical Sciences.
2008;35:227-236
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