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参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (33 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
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(2)内視鏡検査

Q1

高 齢 者 が ん 患 者 に 対 す る 内 視 鏡 検 査 を 実 施 す る に あ た り 、そ の 適 応・条 件 は
何か?

A1

全身状態、合併症の重篤度に応じて個別に扱うことを強く推奨する。

【解説】
世界でも未曾有の高齢社会を迎えているわが国では、高齢者に内視鏡検査を行う機会が増加して
いる。しかし、高齢者は偶発症のリスクが高く、併存疾患を持っていることも多いため、適応判断
には十分な検討が必要であり、より安全でかつ有意義な内視鏡検査が行えるような工夫が求められ
ている。米国消化器内視鏡学会の高齢者に対する内視鏡検査のガイドライン 1)において、高齢者に
対するがんスクリーニングやサーベイランスの内視鏡検査は、全身状態や合併している疾患に基づ
いて個別に扱うことを推奨している。本邦では、具体的な提言がないため、被験者の ADL、経口摂
取の状況、基礎疾患の臨床経過および重症度、排泄の自立などの様々な条件を勘案した上で、個々
の内視鏡医が検査の実施を決定しているのが現状である。内視鏡診療においても高齢者の機能評価
(geriatric assessment: GA)や呼吸循環動態を評価したうえで、内視鏡検査実施の可否を判断し、
実施する場合は、侵襲度を考慮したうえで行うことが望ましく、今後の検討すべき課題と考えられ
る 2)。現時点では、高齢者の場合、内視鏡検査を行うことで、被検者の ADL が低下し、基礎疾患が
増悪する可能性もあることを念頭に、安易な内視鏡検査の導入を避け、内視鏡検査の有用性を十分
に検討し、患者・家族に情報を提供、インフォームドコンセントに基づく承諾書を得たうえで検査
を行うべきである。一方で、食欲低下・つかえ感・頻回な嘔吐などの症状で消化管癌が強く疑われ
ている場合、吐血・下血・黒色便といった消化管出血に伴う症状を認める場合には、リスクが多少
高くても、被検者のベネフィットを優先し、内視鏡検査を行うこともある。
参考 1) 米国では、85 歳以上の超高齢者に対する大腸癌スクリーニングのための大腸内視鏡検査
は、利益が少なくリスクを増やすために推奨されていない 1)。
参考 2) 当院内視鏡部における高齢者に対する評価項目と対応

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