よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (186 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

Q3

高齢がん患者に費やす医療費は適正か?

A3

現状では、高齢のがん患者に費やす医療費が高いのか安いのかを判断する材料がないの
で不明である。

【 解説 】
まず、高齢者の命の値段が、非高齢者のそれより安いという議論は、日本の少なくとも医療界で
は成り立たない。原則は、非高齢者同様、がん治療の適応があり、患者の全身状態や高齢者機能を検
討し、患者・家族の同意が得られれば、fit 患者には標準治療、vulnerable 患者には強度を弱めた治
療、frail では支持・緩和医療を選択する。under-あるいは over-treatment もしないことを原則とす
る姿勢をとる。
高齢者のがんの医療費が循環器系の医療費の6割にすぎないからまだ安いというのは意味のない
議論である。現実的にはむしろ、高齢者が使用する医療費が全医療費の 60%を占め、生産年齢であ
る非高齢者がその多くを支えていることの方が問題である。
総人口減+超高齢社会を迎え、現在と同じように、非高齢者が今まで通り高齢者の医療費負担を
続けていくことは困難である。解決法の一つは高齢者が高齢者を支える社会の仕組みを作ることで
ある。その仕組みを構築するには、まず日本の医療・介護にかかわる統合された医療ビッグデータ
の解析が必要である。それに加え、遺伝子情報が加味され、治療の効果予測、さらに予後予測がもっ
と正確になってくれば、より適切な治療選択ができるようになり“無駄な”診療を減らすことができ
るようになる。さらに、日本の高齢がん患者が気持ちよく医療を受けるためには、医師のリーダー
シップと多職種からなるチーム力の強化が必要である。Artificial Intelligence(AI)時代が到来し、
precision medicine がさらに進む中で、医療者はコンピュータが提出してくるデータを分析、最適
な治療を検討し、患者への詳細な説明とそれに基づく同意を得て、治療に責任をもってあたること
が求められる。

178