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参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (132 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
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第 4 章 外科系治療総論

麻酔総論
高齢者がんの麻酔で留意すべきことは何か?
はじめに
高齢者は、様々な生理機能や臓器機能の低下を持ち合わせ、基礎疾患を併存している 1)。高齢者
の呼吸器、循環器、腎臓・肝臓、代謝・内分泌、脳神経、体温調節系といった主要臓器の生理機能は、
変化の始まる時期や程度については個人差があるものの、加齢とともに低下していく

2)3)。高齢者

のがんの手術に対する麻酔では、身体的予備能の低下からリスクが高まる。
Ⅰ.高齢者の特徴
<呼吸器系>
高齢者の呼吸機能では、肺活量、一秒率、肺拡散能が減少し、機能的残気量、死腔が増加する。
理解が不十分で指示に従えず、呼吸機能検査が正確に施行できない高齢者もいる。咳嗽反射や嚥下
機能が減弱するため、喀痰の排出が低下し、周術期の無気肺、肺炎のリスクが高い。加齢に伴う中枢
神経系の活動低下により、低酸素血症、高二酸化炭素血症に対する換気応答性が低下しており、麻
酔薬により助長される。
<循環器系>
加齢に伴い、動脈硬化による末梢血管抵抗の増大や心臓弁の硬化が生じ、収縮期血圧は上昇する。
左室負荷は増大し、左室壁は肥厚し、左室収縮・拡張能は低下する。刺激電動系は変性し、β 受容体
の感受性低下が起こる。冠動脈硬化のため、虚血性心疾患や不整脈のリスクが高まる。圧受容体反
射機能の低下や交感神経活動の亢進がみられ、手術室入室直後の手術台で測定した血圧は加齢とと
もに増加する 4)。周術期は、平常安静時の血圧を保ち、循環変動を小さくし、心不全の原因となるよ
うな過剰な輸液は避ける。
<腎臓・肝臓系>
高齢者では、動脈硬化による腎血流量の低下や尿細管の委縮に伴い糸球体濾過率は減少する。骨
格筋の減少によるクレアチニン負荷の減少と腎でのクレアチニンクリアランスが相殺されるため、
血清クレアチニン値が正常範囲内であっても、潜在的腎機能低下例は多い。抗利尿ホルモンの反応
性の低下、ナトリウムの保持能の低下、尿濃縮力の低下による脱水や電解質異常、薬物による腎機
能障害を引き起こす。重篤な腎機能障害では、高カリウム血症や肺水腫の合併症を引き起こす。加
齢に伴い、肝血流量の低下がみられる。慢性肝炎や肝硬変を合併していることがあり、術後に肝不
全を引き起こすことがある。加齢により、腎排泄薬物や肝臓代謝の薬物ではクリアランスが減少す
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