参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (14 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html |
出典情報 | がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》 |
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1)Patient-Reported Outcome (PRO)の導入
高齢がん患者の診療にあたって、情報を得る重要性は、非高齢者と同じである。ただ、種々の心
身の問題をかかえ、個人差が大きいことから、がん診療に必要な 3 要因(宿主側、腫瘍側、治療側
の要因)
(図4)のうち宿主側の要因をより詳細に検討することが求められる。また、高齢者世帯が
多い日本の現状では、地域医療機関、行政との連携による情報共有が必須となる(図5)
。
がん患者に限らず、認知能力に限界のある脆弱な高齢者は多い。また高齢者のいる世帯は全世帯
の約半分、さらに単独世帯、夫婦のみの世帯はその 56%を占める。配偶者がいても高齢で複数の併
存症を抱えている老夫婦世帯も多い 1)。
通院治療では、患者自身が治療内容を理解し、受診の際に治療効果や有害事象を医療者に正確に
伝える必要がある。非高齢者でもイベントの内容や日時を正確に記憶していることは難しく、高齢
者ではさらに困難である。
近年の臨床試験では、医療者による評価だけでなく、患者自身の主観的評価を取り入れる試験が
増 え て い る 。 米 国 の National Cancer Institute の 研 究 班 に よ り 開 発 さ れ た PRO-CTCA
(Patient-Reported Outcome (PRO) Common Terminology Criteria for Adverse Events)が使用
される。日本臨床腫瘍グループ(JCOG)訳による日本語版が利用できる。ただ、80 項目におよぶ
包括的な主観的評価であり、日常診療では非現実的である。化学療法室を併設する病院ではすでに
「私の日誌」のような手帳が使用されており、それを充実させ、PRO のツールとして使用すること
が現実的である。高齢がん患者では、大きな文字、図解入りで分かりやすい表現を使い、家族・知
人の支援を得ながら記載することを患者・家族に薦める。これを医療者と共有することにより、自
宅での患者の状況が医療者に分かり、それを治療スケジュールに反映させることができる。結果と
して安全で効果的ながん治療が可能となる 2)。
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