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参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (154 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
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Q2

高齢者における生検の IVR /内視鏡の適応・条件は何か?

A2

内視鏡が到達できる範囲の消化管、気管における内視鏡生検1)、それ以外の部位におけ
るIVRによる経皮的針生検は確立した手技であり、外科的生検に比べ侵襲が低いため、
高齢者に対する生検の第一選択である。超音波内視鏡2)の進歩とIVRにおける誘導画像装
置の進歩により、基本的に体幹部でIVRや内視鏡で生検のできない部位はない。また、IVR
や内視鏡によって得られた組織によっても80%前後で次世代シークエンサーによる遺伝
子解析が可能である3)。ただし、生検された組織が腫瘍の全体像を表現しない組織型が
混在した腫瘍や壊死部分が大部分を占める腫瘍などでは診断能に限界がある。なお、出
血傾向がないこと、検査中の体位保持等の協力が得られることは、IVRや内視鏡による
生検に必須の条件である。

【 解説 】
診断や治療法決定のための組織採取の方法として消化管、気管領域における内視鏡による生検、
それ以外の領域における IVR による経皮的な生検の意義はすでに確立しており、高齢者に限らず、
一般がん診療における標準的技術として用いられている。超音波内視鏡の発達により、内視鏡によ
る消化管や気管の管腔外の腫瘍にも生検(吸引生検)が可能となり、また、誘導画像装置の進歩に
より IVR で生検可能な領域も拡がり、基本的に体幹部で IVR や内視鏡で生検できない部位はない状
況となっている。重大な合併症として出血と播種が挙げられるが、これらの合併症が特に高齢者に
多いという報告はなく、報告の多い肺腫瘍に対する経皮的針生検における頻度は約 0.06%とされて
いる 4)。IVR による経皮的針生検は、古くは吸引生検による細胞診が中心であったが、現在は大量
の組織採取が可能なカッティング針を用いた方法が一般的となっており、この結果、大部分の症例
で次世代シークエンサーによる遺伝子解析も可能となっている 3)。ただし、外科的生検に比べれば
検体組織が少ないことは自明であり、生検された組織が腫瘍の全体像を表現し得ない、組織型が混
在した腫瘍や壊死部分が大部分を占める腫瘍などでは診断能に限界がある。なお、条件としては、
出血傾向がないこと、検査中の体位保持等の協力が得られることが挙げられる。
文献
1)

EUS-FNA

2)

Polkowski M et al. Technical aspects of endoscopic ultrasound (EUS)-guided sampling in
gastroenterology: European Society of Gastrointestinal Endoscopy (ESGE) Technical
Guideline - March 2017. Endoscopy. 2017;49:989-1006.

3)

Sone M et al. Feasibility of genomic profiling with next-generation sequencing using
specimens obtained by image-guided percutaneous needle biopsy. Ups J Med Sci.
2019;124:119-124.

4)

Tomiyama N et al. CT-guided needle biopsy of lung lesions: a survey of severe complication
based on 9783 biopsies in Japan. Eur J Radiol. 2006 59:60-4.

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