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参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (63 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
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Q2

化学療法中の高齢者の FN 対策について、非高齢者と違いはあるか?

A2

高齢者は FN 発症リスクが高い。

【 解説 】
発熱性好中球減少症(Febrile neutropenia, FN)は好中球数が 500/μl 以下、または 1,000/μl 以下
で急速に減少する状態で起こる腋窩温 37.5℃以上の発熱と定義される。病態は急性白血病などの化
学療法後では敗血症などの全身感染症や肺炎などが起こり重篤であるが、がん診療全体の頻度とし
ては起因菌や感染巣がはっきりしない不明熱が多い。最近は固形がんの化学療法の進歩に伴い、外
来化学療法中に発症する患者が増加している。FN は診断したら速やかに抗緑膿菌作用のある広域
抗菌薬による経験的治療を開始する事が推奨されている。数日間観察して効果がない場合は再評価
を行い、抗菌薬の変更や抗真菌薬の追加が推奨される 1)2)。
がんの種類や治療レジメンにより FN の発症率は様々であるが、宿主因子は極めて重要であり、
高齢は最も重要な危険因子である。FN 発症のリスク因子を ASCO、NCCN、EORTC などが提唱
しているが、高齢者(65 歳以上)はいずれにも記載されている。
表 1 FN 発症リスクの患者側要因
ASCO

NCCN

EORTC

高齢者(65 歳以上)

Full dose のがん薬物療法を受
ける高齢者(65 歳以上)

高齢者(65 歳以上)

PS 不良または栄養状態不良

PS 不良

腎機能障害

腎機能障害(CCr<50)

肝機能障害(ビリルビン高値)

肝機能障害(ビリルビン>2.0)

心血管疾患
複数の合併症
感染の存在
HIV 感染
進行がん

進行がん

がん薬物療法施行歴または放射線治
療歴

がん薬物療法施行歴または放射
線治療歴

開放創の存在または最近の手術歴

最近の手術歴や開放創

治療前の好中球減少または腫瘍の骨
髄浸潤

治療前の好中球減少
レジメンの異なる先行
がん薬物療法における
FN の既往歴

文献 1)より引用
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