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参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (89 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
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7-3. 周術期
周術期リハビリテーション診療の目的は、術前および術後早期からのリハビリテーション治療に
より、術後の合併症を予防し、後遺症を最小限にして、スムーズな術後の回復を図ることである。
手術予定の患者は、術後に生じる可能性のある障害や回復の可能性について不安を抱いているの
で、術前に自宅生活や社会復帰に向けたリハビリテーション診療について説明しイメージがつかめ
ると、その不安を軽減することができる。また、術前に患者と担当スタッフが面識をもち、術後の
リハビリテーション治療の進め方や必要性を説明したり、術後のリハビリテーション治療の方法を
前もって指導することは、術後のリハビリテーション治療を意欲高く、効果的に進める上で有用で
ある 42)。
がんの診断直後から治療前にかけてリハビリテーション治療を実施する、いわゆる
“prehabilitation”により、身体・精神機能を向上させると治療に伴う合併症の予防や生存率の向
上、身体・精神機能の維持・向上、入院期間の短縮や再入院率の低下、医療費の抑制などが期待で
きることが多くの研究報告で示されている 43)

44) 45)。

7-4.化学療法・放射線治療中・後
化学療法や放射線療法中には、がん自体や治療の副作用による疼痛・しびれやがん関連倦怠感
(Cancer-related fatigue: CRF)
、嘔気・下痢や口腔粘膜炎による食欲の減退・栄養状態の悪化や睡
眠障害を生じることが多い。また、骨髄抑制によりクリーンルームに隔離されると精神的ストレス
で意欲の低下を来してしまう。その結果、昼間でもベッド上で臥床しがちで不活動となると、全身
の筋力低下・筋萎縮や体力・持久力の低下を生じ、いわゆる「不活動の悪循環」を生じてしまう。
したがって、治療中や治療後の身体活動性の維持・向上を目的とした対応を積極的に行う必要が
ある。化学療法・放射線療法中・後の体力向上を目的とした運動療法(有酸素運動や筋力トレーニン
グ)を定期的に行うことで、心肺系・筋骨格系機能の改善だけでなく、CRFの改善や精神心理面へ
の効果、QOLの向上がもたらされる44)45)。
また、担がん状態では、がん悪液質が問題となることがある。悪液質は、「筋肉量の減少によって
特徴づけられる複合的代謝性疾患」と定義される。悪液質の特徴は、脂肪組織のみならず骨格筋の
多大な喪失を呈することであり、単なる栄養学的異常ではなく、代謝、免疫、神経化学的異常によ
って引き起こされる病態である。飢餓状態では脂肪組織の減少が主で骨格筋の大きな喪失を伴わな
いことと対照的である。骨格筋に関しては、腫瘍産生因子である proteolysis-inducing factor(PIF)
や腫瘍壊死因子(TNF: Tumor necrosis factor)
・アンギオテンシンⅡは、ユビキチン-プロテアソ
ーム系に作用し筋蛋白を分解する。結果、骨格筋は萎縮し筋力や筋持久力の低下を引き起こす。が
んの進行による悪液質の増悪は避けられないが、早期から栄養療法とともに運動療法を行い、易疲
労に注意しながらできるだけ離床を促し、患者の状態にあわせて負荷量を調整しつつ運動を行い、
身体機能の維持に努める 39)。
7-5.骨転移
固形がんの場合、骨転移は脊椎、骨盤や大腿骨、上腕骨の近位部に好発し、初期に病変をみつけて
対処しないと、四肢長幹骨の病的骨折や脊髄圧迫症状による対麻痺や四肢麻痺、膀胱直腸障害が生
じ、余命の間の ADL や QOL は著しく低下してしまう。リハビリテーション治療の目的は、切迫骨
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