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参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (43 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
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第 2 章 内科系治療総論

Q1

がん薬物療法において年齢制限はあるか?

A1-1

暦年齢のみによりがん薬物療法の適応は決められない。

A1-2

「高齢者」の医学的な定義はない。

【 解説 】
A1-1
加齢は個人差の大きな現象で、同じ年齢でも様々な健康状態の患者がいるため、暦年齢はがん治
療の忍容性の判断基準としては不十分である。がん治療の忍容性は、身体的、精神的、心理的な内的
因子と社会的支援など外的因子を評価して総合的に判断する必要がある。
A1-2
高齢者とは、加齢に伴う心身の健康度の低下(老化現象)が生じる割合が高い集団と定義される。
日本老年学会、日本老年医学会は、2017 年 1 月、暦年齢 75 歳以上を高齢者とし、65 歳から 74 歳
を准高齢者、高齢者の中で超高齢者の分類を設ける場合には、90 歳以上を超高齢者と呼称するよう
提言した 1)。
国連、WHO でも明確な定義はなされていないが、65 歳以上の人口が全人口の 7%を超えるもの
を「高齢化社会」と定義したことから、65 歳が目安となり、多くの国では 65 歳以上が高齢者と定義
されている。本邦では社会制度構築にあたり、行政では高齢者を便宜上主に 65 歳以上としてきた経
緯がある。
【参考 1】
高齢者の暦年齢が法的に示されているものは以下の通りである。
55 歳(以上)2)、60 歳以上 3)、65 歳以上(75 歳未満)4)、70 歳以上 5)、75 歳以上 6)、その他具体的な
年齢を設定していない例 7)8)9)10)11)12)、などがある。
【参考 2】
「高齢者」の語義は平均寿命等との相対的な対比によって社会的には理解される傾向がある。例え
ば日本人男性の平均寿命は、明治・大正時代は 43 歳前後で変動はない。1947 年 50 歳、1951 年 60
歳、1971 年 70 歳、2013 年 80 歳と延伸してきた。この改善の理由は、乳幼児死亡率の低下、医療
の進歩、公衆衛生の向上などである。さらには雇用環境、定年制、預貯金や種々の保険制度などとき
の社会背景をも含めた構図から「高齢者」の語義は理解すべきである 13)。
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