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参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (181 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
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Q7

高齢がん患者の抑うつはどう治療すべきか?

A7-1

プライマリ医療者による初期対応として、良質なコミュニケーション、各種ニーズへの
対応、多職種連携が重要である。

A7-2

がん患者のうつ病には一般に抗うつ薬が有効である。ただし、高齢がん患者に特化した
薬物療法に関する研究はない。

A7-3

専門家への紹介と心理療法は有効である。

【 解説 】
A7-1
うつ病の背景にある患者のニーズを同定し、必要ならば多職種で対応する。十分な身体症状緩和、
医療情報の提供、良質のコミュニケーション、社会的問題への対応(例:経済的問題、ソーシャルワ
ーク)などである。進行がんに対する診断早期からの緩和ケアチームの関与は、精神科医への紹介
を増やさずに抑うつを軽減した

1)。がん治療医との良質なコミュニケーション(を育むコミュニケ

ーション訓練)は患者の抑うつを軽減した 2)。初期対応で改善しない場合には、薬物療法、ないし、
専門家への紹介(専門家による薬物療法を含む)を考慮する。
A7-2 薬物療法
がん患者のうつ病には抗うつ薬が有効である

3)。ただし、高齢がん患者に特化した臨床試験はな

い。多数ある抗うつ薬の中で特定の薬剤が他より優れているという証拠はないため、通常は副作用
プロフィールをもとに薬剤を選択する。抗うつ薬の有効性が実証されているのは中等度以上のうつ
病においてであり、軽症うつ病に対する投与は議論の余地がある。
抗不安薬は即効的に不安や抑うつを軽減し、抗うつ薬の補助療法としてや、抗うつ薬の作用発現
(通常は数週間)まで待つゆとりがない場合に用いられる

4)。ただし、うつ病に対する抗不安薬の

効果は開始後4週間以内であり、それ以上の長期投与はプラセボと同等の効果である。抗不安薬は
眠気、認知機能低下、せん妄、易転倒性、依存形成などの副作用があり、特に高齢者では副作用が出
やすいので慎重投与が望まれる 5)。
クエチアピンやアリピプラゾールなどの一部の抗精神病薬は抗うつ作用を有しており 6)7)、補助的に
用いられることがある。ただし、がん患者におけるランダム化比較試験はなく、また、高齢者において
は死亡を含む重篤な副作用の可能性があるため、慎重に検討すべきである 8)。
A7-3 専門家への紹介
専門家(精神科、心療内科)では、鑑別診断、包括的評価と多職種連携のコーディネート、薬物療
法、心理療法を行う。
がん患者に対する心理療法の効果は複数の大規模メタ解析で実証されている
173

9)。がん患者に対す