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参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (169 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
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Q3

高齢者の意思決定能力の評価はどのようにするか?

A3

理解と認識、論理的な思考、表明の 4 要素で評価することを推奨する。

【 解説 】
患者が妥当なインフォームド・コンセントを与える能力がある(意思決定能力)かどうかを評価
することは、インフォームド・コンセントの倫理的ならびに法的な必要条件であり、担当医の役割
である。
4 要素モデルとは、Appelbaum、Grisso らが、諸国の法令や判例のモデルを包含する形で提唱し
たモデルである。意思決定能力を、選択を表明する能力、理解する能力、認識する能力、論理的な思
考の 4 つの機能的な要素で構成しており、最も汎用性の高いモデルでもある 1)。
わが国においては、医療における意思決定能力評価の判断基準について明示されてはいないもの
の、2018 年 6 月に公開された「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援に関するガ
イドライン」では、4 要素に基づいて意思決定能力を評価し、支援を行うことが記載されている 1)。
通常の診療場面では、意思決定能力評価は、主要な説明を終えた後に、面談の一環として口頭で
尋ねる形式で行われる。一般には、担当医がどのような説明を行ったか、その説明に対して患者自
身がどのような理解・判断を示したか、その反応を担当医がどのように理解し、最終的に意思決定
能力をどのように判断したかを記載する(その後の意思決定能力をめぐるトラブルを防ぐうえで重
要である)
。また、意思決定能力の評価は、適切なインフォームド・コンセントの手続きを確保し、
患者の権利を尊重する手続きであることから、非公式な同意と協力依頼の上での実施で十分である。
意 思 決 定 能 力 の 評 価 が 詳 細 に 求 め ら れ る 場 面 で は 、 半 構 造 化 面 接 法 で あ る MacArthur
Competence Assessment Tool-Treatment (MacCAT-T)を用いることが望まれるが、通常診療では、
そこまでは不要である。
また、Mini Mental State Examination (MMSE)などの簡易認知機能検査は、評価の解釈をする
上で有用であるが、意思決定能力評価の代用にはならない(認知機能と意思決定能力は全く別の概念
である)。
4 要素とは以下の点が含まれる 2)。
・選択を表明する能力: 本人の意向を言語的・非言語的に表明する能力である。臨床的には「選択
を実行するために十分安定している(意向が一貫している)
」ことが重要で、複数回の確認を通し
て意向が変わらないことで確認する。
・理解する能力: 本人に開示された情報を理解・把握する能力である。
・認識する能力: 患者に開示された事実を、実際に自分自身の置かれた状況に適用する能力であ
る。その中身は大きく 2 つあり、
①自分が診断された疾患にかかっていることを認識している
②疾患と応じた治療の選択肢の結果を自分自身の状況に照らして認識していることを含む。

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