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参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (225 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
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解説
悪性リンパ腫ではもっとも良く遭遇する 65 歳以上の DLBCL 患者を対象に、年齢、ADL、併
存症、老年症候群の有無という簡単な高齢者の機能評価(GA)で fit と unfit に分けている。担
当医にはその結果が知らされないで、担当医の判断で治療法を選択し、治療成績をあとから検討
するという試験方法をとった。
少数例の試験ではあるが、4 つの簡単な指標で分けた fit と unfit 群の間で大きな CR 率、生存
率に差が出たことは一つのメッセージとして重要である。さらに、unfit で強力な化学療法をした
群と緩和的な治療をした群とで OS において同じ生存カーブとなっていることは、前者が overtreatment であることを示しており、PS と担当医の経験的な判断のみでは不十分であることを示
唆している。DLBCL は、基本的には治せる腫瘍であり、標準治療ができる群を選別して徹底し
た治療が必要である。悪性リンパ腫の治療において、GA が担当医の判断の補助として有用との
報告は他にもみられ、日常診療のなかでの導入が望まれるとともに、その確立に向けて前向きの
検討を期待したい。
3)その他のがん種
他のがん種を含む GA の有用性、とくに治療方針決定のための有用性について
systematic review が Hamaker たちによって数年ごとに実施されている。その Review で取り
上げられた論文を参考に、高齢の個々のがん患者について多領域・多職種からなるカンファラ
ンス(Cancer Board)で検討し、治療方針を決定したうえで、チームで全人的にがん治療を展
開することが望まれる。
・Hamaker ME et al. Frailty screening methods for predicting outcome of a comprehensive
geriatric assessment in elderly patients with cancer: a systematic review. Lancet Oncol
2012; 13:e437–44.
・Hamaker ME et al. The effect of a geriatric evaluation on treatment decisions for older
cancer patients – a systematic review. Acta Oncologica, 2014; 53: 289–296
・Hamaker ME et al. The effect of a geriatric evaluation on treatment decisions and
outcome for older cancer patients – A systematic review. J Geriat Oncol 2018; 9: 430-440
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