参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (224 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html |
出典情報 | がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》 |
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(1) Primary endpoint である TFFS において、標準療法群(TFFS 中央値:3.2 か月)と比較
して試験療法群(TFFS 中央値:3.1 か月)は優越性を示すことができなかった(HR:0.91;
95%CI, 0.76-1.1)
。
(2) 有害事象によるプロトコール治療中止(標準治療群:11.8%、試験治療群:4.8%)および
全 grade の毒性は試験療法群で優っていた。
(3) Grade 3-4 の有害事象は両群で同等であった。
解説
本試験の結果から、著者らは stage IV の非小細胞肺癌においては CGA の結果に基づいてレジ
メンを決定する治療は治療無失敗期間や生存期間に影響を与えなかったが、毒性を減らすことが
できる、と結論付けている。また、試験治療群の約 2 割が BSC に割り付けられているにもかか
わらず生存期間が同等であることを考慮すると、CGA を実施することで必要のない治療を避ける
ことができている可能性がある(over treatment の回避)。
しかしながら、本試験で用いられた GA ツールはがん領域で広く用いているものとは言い難
く、GA は多面的な評価が必要とされるが本試験では栄養状態や社会的サポートなどの重要な確
認項目が抜けている。さらに、例えば Geriatric syndrome(老年症候群)があるだけで frail に
割り付けられる(Fig.1)といった、分類の不適切さも指摘されることから、日常診療への応用に
は注意が必要である。
2)悪性リンパ腫
Tucci A et al. A comprehensive geriatric assessment is more effective than clinical
judgment to identify elderly diffuse large cell lymphoma patients who benefit from
aggressive therapy. Cancer 115:4547-4553, 2009
対象:65 歳以上のびまん性大細胞 B 細胞性リンパ腫。
Primary endpoint: 完全寛解率(CR 率)
、全生存期間(OS)
治療計画:高齢者機能評価(GA)を実施し、Fit、unfit に患者を分類。
担当医は GA 結果を知らされずに、担当医の判断で抗リンパ腫治療を実施。
Fit、unfit の定義:
Fit: ①年齢 80 歳未満、②ADL に障害なし、③問題となる併存症なし、
④老年症候群の症候なし
①~④全てを満たす例
Unfit: Fit の条件を満たさない例
治療成績
(1) CR 率、OS は Fit 群で良好で unfit 群と比較し大きな差がみられる(表)。
(2) Fit で治癒を目的とした強力な化学療法をした群:2 年 OS 77.6%
(3) Unfit で強力な化学療法をした群:2 年 OS 19.8%
(4) Unfit で緩和的な治療を行った群:2 年 OS 26.1%
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