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参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (129 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
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13.

輸血

Q1

高齢者においては輸血の適応に違いがあるか?

A1

高齢者に特徴的な輸血適応はない。

【 解説 】
平成 28 年東京都輸血状況調査集計結果において年代別輸血状況が報告されており、70 歳以上の
患者への使用が全体の 56.8%を占めていた。この結果から輸血を必要とする患者の半数以上が高齢
者であることが示された 1)。
厚生労働省が通知した「
『血液製剤の使用指針』の一部改正について」
(平成 29 年 3 月 31 日付薬
生発 0331 第 15 号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)では、慢性貧血に対する赤血球輸血の適応
には「一般的に輸血の適応を決定する場合には、臨床検査値のみならず臨床症状を注意深く観察し、
かつ生活の活動状況を勘案する必要もある。」と記載されている 2)。一般的に活動度が低い高齢者に
おいては貧血症状が発現しにくい状況が考えられるが、指針内の「固形癌化学療法などによる貧血
の項においては、トリガー値を Hb 値 7~8g/dL とする」とある。
「循環器系や呼吸器系の合併症があ
る場合では、輸血を必要とする状況もあり得る。
(中略)しかし、Hb 値を 10g/dL 以上にする必要は
ない」とされているため、高齢者においても若年者同様 Hb 値 7~8g/dL をトリガー値として、10g/dL
以上とならない程度に患者状態を総合的に勘案して輸血することになる 2)。
血小板濃厚液輸血については上記指針内に「血小板数、出血症状および合併症の有無により決定
する」とある。一般に血小板数が 5 万/μL 以上では血小板輸血が必要となることはなく、活動性出
血時には血小板数 5 万/μL 以上に維持するように輸血することが推奨されている。ただし転倒など
による外傷性頭蓋内出血の場合には血小板数 10 万/μL 以上に維持することが推奨されている。また
固形腫瘍に対して強力な化学療法を行う場合には、血小板数が 1 万/μL 未満に減少し、出血傾向を
認める場合に、
血小板数が 1 万/μL 以上を維持するように血小板輸血を行うことが推奨されている。
なお癌や重症感染症などを基礎疾患とした DIC(Disseminated Intravascular Coagulation)では、血
小板数が急速に 5 万/μL 未満へと減少し、出血症状を認める場合には、血小板輸血を考慮するとさ
れている 2)。

文献
1)

東京都福祉保健局. 東京都輸血状況調査結果.
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/k_isyoku/yuketsutyousakekka.html

2)

厚生労働省医薬・生活衛生局. 血液製剤の使用指針. 2017
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000161115.p
df

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