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参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (111 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
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2. 腎機能障害、低カルシウム血症
(1)BMA 使用中の腎機能、低カルシウム血症モニタリングの頻度は?
BMA の使用では、
腎機能と血清 Ca 値のモニタリングが重要である。腎機能のモニタリングには、
患者が標準的な体格(標準体重から 10%以上低い極端なるい痩あるいはボディマス指数(BMI)が
30 kg/m2 以上の極端な肥満がない)の場合、日本腎臓学会の推算式(Estimation of glomerular
filtration rate: eGFR(mL/分/1.73 m2)=194×血清クレアチニン値(sCre)-1.094×年齢-0.287(女性
は×0.739)
)14)を用いた eGFR でおおよその腎機能を評価することが重要である。そして、糸球体
濾過速度(GFR)が BMA の減量規定になる境界領域の場合や体格が標準範囲を著しく逸脱するよ
うな場合では、実測 GFR やシスタチン C による推算 GFR が必要である。高齢者では、加齢ととも
に腎機能が低下する。特に、45 歳前後からクリアランスの低下が早まり、健常者であっても平均的
に 8 mL/分/1.73 m2/10 歳ずつ GFR が低下する 15)。また、高齢者では、Cockcroft & Gault 式によ
るクレアチニンクリアランス値が過小評価されることが知られる 16)。特に sCre が 0.6 mg/dL 未満
あるいは理想体重から 10%以上低いるい痩傾向にある高齢者では、sCre の Round up、すなわち 0.6
mg/dL より低い数値では 0.6 mg/dL に固定して計算する。
ゾレドロン酸による腎機能障害発症までの投与回数および投与期間中央値は、それぞれ 5.6 回お
よび 6.1 ヵ月である 17)。また、デノスマブやゾレドロン酸による低 Ca 血症は、初回投与から 2~4
週以内に生じることが多く、特に初回投与時は、頻回の検査値モニタリングが望まれる。
(2)高齢がん患者に BMA を投与する際、用法・用量の注意は?
ゾレドロン酸は、腎排泄されため、腎機能が低下している場合に排出の速度の低下が生じ、腎に
て蓄積する結果、腎機能障害が誘発される。ゾレドロン酸による腎機能障害のリスク因子としては、
年齢(65 歳以上)
、非ステロイド性抗炎症薬やシスプラチンの併用、糖尿病の併発である。頻回に腎
機能をモニターし、血清クレアチニン値(sCre)が、0.5 mg/dL 以上増加した場合、休薬などを考慮
する。また、腎機能に応じて段階的に減量を行う(表 2)
。sCre が 3.0 mg/dL 以上あるいは GFR が
30 mL/min 未満での安全性は検証されていない。
デノスマブよる腎機能障害の発症は、ゾレドロン酸に比べ低い可能性がある(9.2% vs 11.8%,

p=0.001, 表1) 8)9)10)11)。また、GFR≧30 mL/minの軽度~中等度腎機能障害におけるデノスマブ
の投与量調節は、不要である。高齢者におけるデノスマブの安全性は、3つの臨床試験8-10)におい
て確認されている。つまり、デノスマブ投与患者2841例における44%および17%がそれぞれ65歳
以上および75歳以上の高齢者であったが、これら高齢者とより若い患者における腎機能障害等の副
作用プロフィールは変わらないとされている。しかし、GFR<30 mL/minの重度腎機能障害の患者
は、試験から除外されている点に注意が必要である。

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