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参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (143 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
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Q2

標準的な照射ができる条件は何か?

A2

高齢でも標準的な放射線療法はできる。但し、高齢者に合併しやすい併存疾患や全身状態
の低下により標準的な放射線療法を行えないことがあるので、高齢者機能評価などにより
機能低下を評価してから標準的照射の可能性を検討することが望ましい。

【 解説 】
小児では、正常組織の放射線感受性が成人より低いことから、年齢(月齢)に応じて1回線量、
線量分割法、総線量が成人と異なって設定される。小児の標準と、成人との標準は異なっているが、
高齢になることで、成人と異なる標準が設定されてはいない。すなわち、合併疾患、全身状態など
の因子により標準的な治療が行えないことはあっても、高齢であるということのみで、標準的な放
射線療法が行えないことはない 1)。
高齢者に標準的な放射線療法を行えるか検討する際に考慮すべき項目は、高齢者機能評価にある
ような、合併症、身体機能、認知機能、栄養状態、社会状況などである 2)3)4)。
放射線療法は、外部照射、小線源治療、内用療法に大別されるが、外部照射、小線源治療では、
加齢による変化が治療に影響することがある。
合併症としては、コントロール不能な糖尿病、重度の間質性肺炎、重度の肺機能低下などが問題
となるが、高齢者でない成人と大きな差はない。身体機能や認知機能としては、仰臥位などの治療
中の体位が保持、通院の可能性などがある。外部照射であれば放射線療法中は動かずに数分間の体
位保持を保っていられれば良いが小線源治療では、例えば子宮頸癌に対する腔内照射では、婦人科
の内診台と同様の砕石位で1時間以上体位を保持できる必要があり、股関節の変形、脊椎の前弯な
どの変形では困難なことがある。
通常の放射線療法は月曜から金曜の週5回で原則的に外来通院であるが、週日毎日の通院は身体
的に負担で困難であるとの訴えがあることがある。入院での治療を考慮するか、前立腺など部位に
よっては1回の線量を増やし週3回で治療を行うことを考慮する 5)6)。但し、一般的には分割回数
を減らすより週5回法の方が有害事象は少ないとされており、どの部位にも行って良いとは言えな
い。重度の低栄養や貧血がないこと、困難な状況での家族の支えがあることなども治療の継続に必
要である。
進行がんに対して化学療法併用放射線療法を行う場合、一般的には化学療法が行える条件が揃っ
ていれば放射線療法を併用することも可能である 7)8)9)。

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