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参考資料14 高齢者がん医療Q&A総論(厚生労働科学研究「高齢者がん診療指針策定に必要な基盤整備に関する研究」) (147 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28073.html
出典情報 がん対策推進協議会(第82回 9/20)《厚生労働省》
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Q4

高齢者では放射線療法の効果が異なることはあるのか?

A4

放射線療法の効果が年齢によって大きく異なるという報告はない。

【 解説 】
年齢はしばしばがん治療において予後因子、もしくは治療の効果予測因子として解析に用いられ
る。放射線療法においてその治療効果が年齢という因子に影響を受けるかどうか、明確な相関を示
した報告はない。
根治的放射線治療に関しては、一定期間内に治療を完遂できるかが治療効果に影響する

1)2)。高

齢者は加齢に伴う脆弱性のため、放射線療法の急性有害事象、併用する薬物療法の副作用、がん治
療と無関係な感染症や熱発といったイベントにより放射線療法の休止・中止リスクが非高齢者より
高い 3)。完遂できなかった患者を含む Intention-to-treat(ITT)解析では治療強度の減弱のため、十分
な効果が得られない可能性がある。同様に、日常診療では強い有害事象を避けるために治療強度を
下げることがあるが、治療強度が維持できた例と比較すると治療効果が落ちる。さらに、照射を予
定通り完遂した患者のみで Per-protocol 解析を行った場合、高齢者では他病死の比率が高くなるた
め、非高齢者に比べ生存成績が下回ることもありうる。
最近では薬物療法と放射線療法の併用、すなわち化学放射線療法が、多くのがん種で標準治療と
なっている。それらが高齢者に対しても安全性が十分であり、また薬物療法の上乗せ効果の意義に
ついて多くの報告がなされている

4)5)6)。中にはある一定年齢以上の患者に対しては薬物療法の上

乗せ効果が認められないとの報告 7)もある。ただ、薬物療法に関しての研究であり、放射線療法の
直接の治療効果に関しての検討がなされていない。
以上から、一定期間内に放射線治療を完遂することが可能な高齢がん患者は非高齢者と同様の効
果が得られ、治療効果が年齢によって影響を受けることはないと考えられる。
したがって、高齢者に対する放射線治療の適応を考える場合には効果はもとより有害事象に関して
より詳細に検討すべきである。すなわち、
1. 治療で出現する有害事象に対して対応できるか
2. 治療の完遂は見込めるのか
3. 治療後の日常生活は維持できるのか
といった観点から適格患者を見極めるべきである。

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